アイリスオーヤマはなぜ「家電事業」に参入し、「結果」を出してきたのか水曜インタビュー劇場(家電公演)(4/7 ページ)

» 2016年09月21日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

スティッククリーナーの開発秘話

小林: 実家に住む母親は、キャニスター型(車輪が付いていて、ホースを引っ張って移動させる形式)の掃除機を使っていました。 健康に気を遣ってエアロビクスや太極拳を行っていましたが、膝・腰・肩が痛むようになりました。そうなると、掃除が大変なんですよね。掃除をするだけでも大変なのですが、電源コードの抜き差しや収納にも苦労していました。

 そんな母親を見て、「このままではいけない」と思いました。力の弱い女性や子どもでも楽しく掃除ができるモノをつくりたい。いや、絶対につくるべきだと思いました。

土肥: そこから「軽さ」の追求が始まったわけですか?

小林: はい、不要な機能、余計なデザインを削っていきました。例えば、他社の掃除機は、先端部分のノズルにモーターが付いているのですが、新たに「サイクロンストリームヘッド」という機能を開発しました。モーターを設置せずに、ヘッド内に回転する気流を発生させ、ゴミをかきあげるんですよね。

 完成するのに、30〜40個ほどの試作品をつくりました。タイヤの大きさ、高さ、溝の幅、隙間などちょっとずつ修正して、やっと形にすることができました。ちなみに、ゴミパックは自社で生産しているマスクの技術を応用しているんですよ。

新たに開発した「サイクロンストリームヘッド」。ヘッド内に回転する気流を発生させ、ごみをかきあげていく

土肥: どういう意味でしょうか?

小林: 先ほど「工場ではさまざまな商品をつくっている」という話をしましたが、工場でマスクをつくっているんですよね。マスクの素材は抗菌の素材が入っていて、軽い。「マスクの素材をスティッククリーナーにも応用できないか」と考え、実際に使用することにしました。

土肥: スティッククリーナー以外にも、工場でつくっているモノを新商品の開発に生かしたケースはあるのですか?

小林: 家電だけに限らず、プラスチックと木を合わせて収納をつくったり。たくさんありますね。

土肥: ということは、マスクの素材を応用した……というのは珍しくない?

小林: はい、珍しくないですね。

中国・大連市の工場

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