25年ぶりのリーグ優勝に抱く思いは? アラフォー広島カープファン座談会新人記者(オタク女子)が行く(3/4 ページ)

» 2016年09月26日 06時00分 公開
[青柳美帆子ITmedia]

カープという球団の魅力は?

――長年カープを応援している皆さんに、カープという球団の魅力を伺いたいです。他の球団と比べて、どんな特徴があるチームで、どこにホレているのでしょうか。

キクチ: 長打力はないけど、機動力のある野球。とにかく走って、とにかく守る。カープが好きだからカープみたいな野球が好きになるのか、もしくはその逆なのかはちょっと分からないですけど、カープの機動力野球はすごく好きですね。最近だとさっきも話題に出た菊池選手がイチオシ。まさにカープの野球という感じで、彼の守備を見ているだけで白いごはんを食べられるくらい。

菊池選手の守備でご飯が進む

アライ: 菊池選手は群を抜いてますね。僕がカープを好きな理由は、菊池選手や鈴木誠選手のように、無名の人が有名になってくるところ。メジャーリーガーになった黒田博樹選手も、中高生時代はぱっとしなくて、カープに入ってから成長し始めたんですよ。育成力とドラフト力、スカウトマンの将来性を見る目がある。

タツカワ: 一時期は、カープで育成した選手が他球団に取られて、そして移籍先でさらに活躍するということも多かったですね……(遠い目)。カープは90年に「日本球界史上初のアカデミー」をドミニカ共和国に作ったんですが、そこで育てた選手も、カープでは“そこそこの活躍”だったのに、メジャーリーグでは“大活躍”。

アライ: はは……(苦笑)。でも、無名の選手がいつの間にか主力になるのをリアルタイムで追いかけていくのは感動しますよ。育ててもらった恩義を感じているからか、なかなか他球団に行かないし。行ったとしても、黒田選手や新井貴浩選手のように、戻ってくることもありますし。

キクチ: 2人とも、まさか帰ってくるとは……。驚きました。

アライ: 新井選手は『おそ松くん』みたいな帰り方。去年『おそ松さん』というアニメが放送されてたじゃないですか。「新井」が「新井さん」になって帰ってきた感じ。今カープで1番人気があるのは新井選手かもしれないですね。今年4月には2000本安打も達成して、他球団ファンからは「新井に打たれたらしょうがない」なんて声も聞きます(笑)。

左:「新井さん」になって帰ってきた新井貴浩選手(写真はカープへの思いを語った『赤い心』より) 右:「おそ松さん」になって帰ってきた松野おそ松(写真はDVD1巻)

タツカワ: 僕はカープのお金がないところが好きですね。

キクチ&アライ: あ〜(納得の声)。

――えっ、どういうことでしょう。

タツカワ: 1番象徴的なのは「樽募金」。51年のカープは、選手の給料や活動費をまかなえないほどお金がなかった。このままでは球団の存続が危ぶまれる……という状況下で、ファンが立ち上がった。球場の入り口に樽を置いて、その中にみんなお金を入れていったんです。

――原爆によって受けた傷がまだ生々しい状況下で、みな余裕があるわけではないのに、カープのために募金を……。

タツカワ: ある意味、カープの活躍は、広島復興の象徴だったと思うんですよ。

キクチ: 最近だと、ズムスタの施工費として、みんなで樽募金しましたねー。

タツカワ: 51年当時ほど困窮しているわけではないけど、カープはお金が潤沢に使える球団ではない。強い選手をとれないから育成するし、外国人選手もそんなに有名じゃないけど日本の野球に合う人をスカウトしてくる。そこで活躍して年俸が上がると他球団に移籍されて、また新しい人材を確保する(苦笑)。

アライ: 前田健太選手のドジャース移籍金で、かなり選手を補強しましたよね……。

キクチ: カープって、「2000本安打」や「ベース投げ」など、何か球団にとってのイベントがあるとすぐTシャツやグッズを作るんですよ。それってファンを増やしてグッズ売り上げを増やすマーケティング的な工夫。面白い企画が出てくるのも、お金がないからこそ(笑)。

オリジナルグッズが充実しているカープ。優勝記念Tシャツや新井選手の2000本安打カウントダウンTシャツなどを販売している

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