イチローも悲しむ若手右腕の事故死 「悲劇」で語った大物たちの言葉とは赤坂8丁目発 スポーツ246(2/3 ページ)

» 2016年09月28日 11時31分 公開
[臼北信行ITmedia]

監督の言葉

 もちろん、イチローだけではない。チームを預かるドン・マッティングリー監督はフェルナンデスの余りにも早過ぎる死について、こう述べた。

 「チームメートの中で、いやこの世の中においてホセのことを悪く言うヤツなんて1人もいるはずがない。彼はマウンドに上がればゲームを支配するだけでなく、クラブハウスでも大きな存在感を発揮してくれていた。いつも1人1人に気を配りながら接し、そして自らのピッチングでも皆を勇気付けてくれる。ときにはジョークも言って我々に笑顔をプレゼントしてくれたし、一方でチームが暗く沈んでいるときは熱い言葉を投げかけてムードを一変させてくれたりもした。

 ホセがいるだけで、本当にムードがよくなるんだよ。あんな素晴らしいナイスガイはどこにもいない。我々は……とてつもない大きな……本当に大きな盟友を失ってしまった。この……悲劇的過ぎる知らせは、とても……どうあっても……受け入れられるものではない」

 会見で指揮官が涙を流しながら最後に言葉を詰まらせる様子は、全米の各メディアでも大きく報じられた。そのマッティングリー監督のメディア対応を同じ会見場の隅でチームメートやスタッフとともに沈痛な面持ちで見つめるイチローの姿も米スポーツ専門局『ESPN』の映像に映し出されていた。とても辛く悲しいシーンであったのは言うまでもあるまい。

 フェルナンデスの死から一夜明けた26日の試合はメッツ戦。前日の試合は中止となったが、この日は本拠地マーリンズ・パークで追悼試合として行われた。球場周辺にはファンによる献花、写真、ボールなどが置かれ、深い悲しみに包まれる中でのプレーボール。永久欠番となることが決まったフェルナンデスの背番号「16」と彼の名前が入ったユニフォームをチーム全員が着用し、マウンド後方には「16」の数字も描かれ、志半ばでこの世を去った24歳右腕とともに戦った。

 初回にいきなりディー・ゴードンが涙の先頭打者本塁打を放てば、代打で登場したイチローもキッチリとワンチャンスで左前打を放つなどマーリンズの誰もが全力で亡きエースに哀悼の意を示す姿に日本でも心を打たれた人はきっと多かったと思う。チームは7ー3で大勝した。

チーム全員がフェルナンデスの背番号「16」と彼の名前が入ったユニフォームを着用した(出典:マイアミ・マーリンズのFacebookページ)

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