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» 2016年09月30日 15時00分 UPDATE

社名変更に秘められた狙い:勝ち抜くためにリーダーは何をしたのか 必要なのは「突破力」――IDOM・北島昇

中古車買い取り大手のガリバーを運営する「IDOM(イドム)」は、環境変化への危機感を原動力に、組織、働き方、人事など、さまざまな改革を推し進めている。同社がとりわけ力を入れてきたのが、北島氏がかじ取りをしている新規事業開発である。「NOREL」「クルマジロ」「クルマコネクト」など、わずか数年で次々と新事業を立ち上げることができたのはなぜなのだろうか? 北島氏の仕事への考え方、プロジェクトを推進してゆくチカラの秘けつを探る。

[PR/ITmedia]
新規事業開発室の北島昇室長

 「自動車産業は変化のスピードが速く、小売業は簡単にルールチェンジがおきやすいので、私たちは常に危機感を覚えています」と語るのは、IDOMの執行役員 新規事業開発室の北島昇室長である。

 従来の「所有」から、カーシェアリングに代表される「利用」へとシフト。また、技術革新によって自動運転技術の導入が進んでいる。さらに、異業種から中古車販売への参入も相次いでいる。こうした変化を受け、北島氏は今後は既存ビジネスが縮小し、新規ビジネスが急成長すると見ている。

現状を打破し異業種との競合を勝ち抜く

 ビジネス環境が大きく変化している中、IDOMが最大のリスクと捉えているのは、“自社の強み”である。既存事業の売り上げが減少しているわけではない。むしろ、増加している。にもかかわらず、同社は「現状の打破」という新たな経営方針を採用した。方針の骨子は、他社に先んじられるリスクに対して、既存事業の毀損を厭わず対応に取り組むこと。ひいては、新たに獲得した競争力によって、IDOMを次の成長軌道に導くというのが経営陣の描くシナリオである。

中古車販売「ガリバー」などを運営する「IDOM」。社名変更も意気込みのひとつ

 その意気込みは、同社の中期経営計画からも見て取れる。2020年度の営業利益(連結)は210億円を目標に掲げている。この数字は2016年度に比べて、約140億円の増加である。「商号変更は、この挑戦に向けた決意表明」(北島氏)というわけだ。なお、店舗名などの既存ブランドの変更は一切ない。

 この新たな方針の下、同社が社内の構造改革や体質改善など、既存業務のあり方を根本から見直す作業に着手したのは2年ほど前のこと。その一環として、同社がとりわけ力を入れてきたのが、北島氏がかじ取りをしている新規事業開発である。

 新規事業の勝負は、立ち上がってからが本番である。内容がいくら優れていても、当初から利益を生み出すのは難しい。利益を確保するために、顧客の反応を基にした事業自体の見直しや、お客さまの支持を得やすい訴求法の見極めなど。事業が市場に合致するまで、これらの作業が粘り強く繰り返されることになる。

 こうした課題を克服するために、北島氏は人材に着目した。ITスキルなどを備えた外部の人材を積極的に採用した。

 「IDOMの社員は私を含め、営業としての熱意ゆえに、冷静な検証の視点が抜け落ちることがあります。対して、IT企業出身者の多くは、検証の視点を事前に備えている点で、参考になる意見も少なくないのです」

 「社内」か「社外」という理由で、人材を判断してはいけない。ただ外部人材にも弱点がある。同社の場合でいえば、クルマの販売経験が乏しいゆえの、仮説に過度に寄りかかりすぎる点などだ。しかし、北島氏は「新たに採用した人材からアドバイスされることもあり、そのメリットは計り知れない」という。

 その言葉通り、今後も外部人材を積極的に活用する構えだ。社員、業務委託、資本提携、副業など、契約形態には一切こだわらない。

 「多様な人材と協業すれば、議論に必要な知見を幅広く集められ、結論の質も格段に高められます。面白そうな仕事を提示できれば、スキルの高い人材をより多く集められますし、仕事へのモチベーションを高める効果も期待できます」(北島氏)

 環境変化がさらに激しさを増す中、時代に合わない事業などを議論で洗い出し、捨てる作業を行い、単純化して最適化させれば、次の行動も起こしやすくなる。IDOMにとって、これは他社との差別化のための新たな武器になるだろう。

新規事業を活用して、既存事業の売り上げアップも起こった

短期に3つの新事業を立ち上げられたワケ

 新規事業を開発する――。言葉にするのは簡単だが、実践は極めて困難だ。また、社長からは、単なるチャネルの多様化ではなく、新たな事業プラットフォームの創出という“宿題”も与えられた。

 こうした厳しい条件ながらも、IDOMが直近で生み出した新事業はすでに3つを数える。月額定額制で、IDOMが抱える大量の在庫を自由に乗換ができるようにした「NOREL(ノレル)」、クルマの個人間売買(CtoC)ができる「クルマジロ」、チャット方式のオンライン接客プラットフォームである「クルマコネクト」。

 もっとも、開発過程では苦労も少なくなかった。その1つが、事業間の調整作業である。

 「新規事業が既存事業の利益を奪うことは往々にして起こり得ること。それでも、企業はより大きな利益を出さなければいけません。ただ、どの程度まで社内競合を認めるかは、最終的に経営トップにしか判断できません。その点、当社では新事業の可能性を評価した上で、難しい問題にも迅速に対応しました。トップの後押しがなければ早期の事業化は難しかったはず」と北島氏は振り返る。

自動車販売の課題を多角的に炙り出す

 北島氏は2007年の入社以来、経営企画やマーケティング、店舗開発など、多様な部署を経験した。

 「自動車販売には、カジュアルさが不足しています。量販店もなく、手続きも面倒で、パッケージングを自由に選ぶ楽しみもありません。逆に言えば、新規事業開発のアイデアは、それだけ豊富に残されているのです」(北島氏)

 広報担当者によると、北島氏は社内的に、“声の大きな存在”としても知られているという。実際、不合理な点について、担当者と直接議論を交わすこともしばしばだそうだ。それは、同社の社内が極めてオープンなことの表れでもあるが、新規事業開発には前述のような社内的な軋轢(あつれき)が生じやすい。そこで成果を矢継ぎ早に上げるためには、“突破力”を備えた人材が必須であることは明白である。そういう意味で、IDOMが北島氏のような突破力のある人間を、新規事業の開発責任者に抜てきしたのは人事の妙と言えるだろう。

 彼の目に未来はどのように映っているのだろうか。

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