また警察がシステムそのものをよく理解していないという例も見られる。カリフォルニア州フレズノでは、市議会で「忠告を受ける犯罪予備軍はどう判断されるのか」という質問をされた警察の担当者が「よく分からない」と答えたことで話題になった。民間企業がその企業秘密を開示しないためだという。
ワシントン州ベリンガムでは、システムの詳細が分からないために、住民が高価な犯罪予測システムの導入に反対し、購入が見送られた(ベリンガムの警察は後に別のシステムを強引に導入している)。カリフォルニア州リッチモンドやメリーランド州ボルティモアなどは、犯罪予測システムはメカニズムが分かりにくく、費用対効果が期待できないとして導入を却下している。
そもそも、こうした犯罪予測システムは日本のような「交番」文化がある国では必要ないのかもしれない。というのも、地域の警官らがホットスポットとされる場所はすでに把握していると考えられるからだ。犯罪予測に出てくるような過去に犯罪が何度か起きた地域や、起きそうな地域などはすでに交番が把握しているはずだ。ひったくりの多い場所は、交番のお巡りさんならすでに知っているはずである。
海外でもこんな指摘がある。フランスの研究によれば、高価な犯罪予測システムを導入せずとも、警察署がもともと経験値などで把握している犯罪多発地域に警官を送ったり、配置したりすることで十分に同じ効果が得られると指摘している。高価なシステムを導入するまでもない、というのである。
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