なぜ大阪府警の機動隊は「土人」などと暴言を吐いたのかスピン経済の歩き方(5/5 ページ)

» 2016年10月25日 08時13分 公開
[窪田順生ITmedia]
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 10月22日、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」が、沖縄における報道の自由侵害を懸念する声明を発表、高江の抗議運動を取材していた『沖縄タイムス』と『琉球新報』の記者が拘束されたことを「危険な先例」として非難した。「土人」発言に畳み掛けるような絶妙なタイミングだ。

 基地反対運動というのはどんなに座り込みを続けても、結局は為政者側の「実力行使」で鎮圧されてしまう、という厳しい現実がある。そこで、「基地問題=重大な人権蹂躙」という構図をつくって、国際世論を動かすという「出口戦略」へと徐々に移行していけるかが勝敗を分ける。

 相手がカメラを持っているにもかかわらずあのような暴言が飛び出るというのは、応援に来た他県の機動隊員たちの士気が著しく落ちている証だ。このまま高江に居座り続けたところで、活動家のみなさんの「挑発的態度」に疲弊して、同様の失態を招く可能性は高い。

 当然、反対派はそれを狙っている。政府もそれを分からないわけがない。それでもなお機動隊を対峙させ続けるのか、それとも――。両者の次の一手に注目したい。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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