コンビニバイトの面接で、履歴書は必要なのかコンビニ探偵! 調査報告書(3/4 ページ)

» 2016年10月27日 07時15分 公開
[川乃もりやITmedia]

雇用者が履歴書の提出を求めるワケ

 「履歴書を否定しながらもそれを受け取るとはどういうことだ」と思われるかもしれないが、実は労働基準法で「労働者名簿・記録の保存」というのが定められている。

第百七条 使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。
第百九条  使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない。
(出典:労働基準法(e-Gov))

 右の図をご覧いただきたい。労働者名簿の中に「履歴」という項目がある。「履歴書」という指定こそないが、雇用側は履歴の記録のために応募者に提出を求めるのだ。

 労働基準監督署に問い合わせたところ、「労働者名簿における履歴は履歴書に限らない」という回答だった。では、履歴とは何かと聞くと「雇用側が必要とする履歴」で、かなり曖昧(あいまい)なモノのようだ。

 例えば技術職を採用する場合、学業で技術を学び一定のスキルがある証明として学歴、あるいは職歴を記載する――という具合だ。法律で定められてはいないので、中学卒業からすべての学歴職歴を書く必要はまったくないとのことだ。

 「それなら、そもそも履歴書なんて必要ないのでは?」という疑問が出てくるが、労働者保護の観点から全く関係のない履歴の人に意図しない状況で就労させることはその人のためにならないので、雇用者に履歴の記録が定められているとのことだった。

 想定外ではあったが、採用時に履歴書は「必要なモノではない」ことが判明した。個人情報保護が重要視される現在、雇用側は多くの個人情報が記載されている履歴書を受け取るリスクを考える時期に差し掛かっているのかもしれない。

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