日本シリーズを制するのは? 「昭和的な闘将」と「平成的な策士」に注目赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2016年10月29日 08時41分 公開
[臼北信行ITmedia]

栗山監督のメディア操作術

日本ハムの栗山監督は「平成的な策士」

 一方、日本ハムの栗山英樹監督はメディア操作術にかなり長けていると言える。その観点で評せば、やはりこの人は「平成的な策士」と言えるのかもしれない。この日本シリーズでもスタートから2連敗を喫して劣勢ムードが漂っていたとき、記者たちの前でこう言い切っていた。

 「ファイターズの選手は追い込まれれば、必ず本来の力を発揮し出す。そう考えると2連敗して、負けて嬉しい」

 負けて「嬉しい」と発言した監督はおそらく長いプロ野球の歴史上いなかったのではないだろうか。しかも短期決戦は1つの勝敗がその後の行方を大きく左右する。だが、これこそが栗山流の真骨頂なのだ。メディアを通じて自分の発言を発信し、それを見聞きした選手たちの心に響かせる。

 ミーティングで、あるいは選手個々に直接伝えるやり方ももちろんあるが、栗山流はそれだけに終わらない。影響力の大きいメディアというフィルターを介することによって世間の反響も広げ、メッセージを伝えたい相手に「監督がこう言っていて、これだけの人も注目しているのだから自分もやらなければいけない」という思いを強めさせるのである。

 チームは本拠地で迎えた第3戦から一気に3連勝を飾って0勝から一気に王手をかけたのだから、その効果は今回もてきめんだったと言っていい。栗山マジックは大舞台でもキラリと光っている。

 「栗山監督は日本シリーズ中もレギュラーシーズン同様に試合前、試合後に必ずメディアを集めて囲み取材を行います。日本シリーズを盛り上げるために自分の発言がどれだけ重要なのかを分かっているだけでなく、そのメディアの向こう側にはファン、さらに選手を含めたチーム関係者がいることも把握しています。

 自身の発言がどういう影響を及ぼすかを頭の中でシミュレーションしながら口にする。そうやって試合以外のところでもメディアを巧みに使った『采配』を振るっているわけです」(球団関係者)

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