異常が起こる20分前にAIが予測 加速する「スマート工場化」(1/2 ページ)

» 2016年11月01日 14時14分 公開
[ITmedia]

 アジア地域のIoT(モノのインターネット)市場は2019年までに約50兆円規模にまで成長するという(IDC Japanの予測)。中でも、特に成長が期待されているのが製造業の分野だ。工場内のあらゆる機器をネットワークに接続し、品質や状態を詳細かつ、リアルタイムに把握(予測)することで生産性を高める「スマート工場化」の取り組みが加速している。

 異常がまだ起きていないのに、ごく近い未来の異常発生を予言して対応を促す──化学大手の三井化学は、IoTとAI(人工知能)を導入したスマート工場の実証実験を進めている。

 同社は化学品を製造する工場(化学プラント)を国内で6つ稼働しており、早くからデータ活用に取り組んできた。例えば、各種センサーの指示値(温度計、圧力計、流量計など)をシステムが1秒単位で自動収集。オペレーターは、モニターに表示されたその値を監視・確認しながら運転操作を行う。また、収集したデータは設備の点検計画の作成などに生かしてきた。

 よりプラント設備の信頼性向上と運転効率化を進めるため、昨年からNTTコミュニケーションズと共同でAI(ディープラーニング)を活用した実証実験を始めている。収集したデータをAIで分析することで、プラントの異常検知や設備の故障を予測し、突発的に発生するトラブルを事前に防ぐ狙いだ。

photo 三井化学の化学プラント
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