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» 2016年11月01日 17時52分 UPDATE

資生堂、事業所内保育事業に参入 社内の支援ノウハウ活用

大手化粧品メーカーの資生堂は11月1日、保育事業への参入を発表。2017年2月をめどにJPホールディングスと合弁会社を設立する。“女性が働きやすい会社”で知られる同社がノウハウを生かし、女性活躍の支援を行う。

[青柳美帆子,ITmedia]

 大手化粧品メーカーの資生堂は11月1日、保育事業へ参入すると発表した。2017年2月をめどに、全国で保育所を展開するJPホールディングス(JPHD)と合弁会社を設立。事業内保育所の運営受託やコンサルティングに乗り出す。魚谷雅彦社長兼CEOは「社会は女性に活躍してもらいたいと思っているが、環境が整っていない」として、女性社員の支援で培った知見を広げていきたい考えだ。

資生堂がJPHDと合弁会社を設立し、保育事業に参入する。握手する資生堂の魚谷社長(左)とJPHDの荻田代表取締役(右)

資生堂が保育事業に参入したワケ

 “女性が働きやすい会社”として知られる資生堂は、社員の子育て支援策を数多く行っている。社内保育所は03年に開設し、女性社員の仕事と育児の両立をサポートしてきた。待機児童(認可保育所に入所できない)が社会問題化する中、社内で培ってきたノウハウを生かし、事業所内保育所に参入する。

 「資生堂の取り組みが話題になり、さまざまな企業から意見を求められることが増えた。社会全体や多くの企業が『女性に活躍してほしい』と感じているが、環境が整っていないのが現状。資生堂が社外に一歩踏み出してサービスを提供することで、社会に貢献できるのではないか――という意見が社内から多く出てきた」と魚谷社長は参入の理由を語る。

 保育事業参入プロジェクトは約1年前にスタート。社員が全国70カ所の保育関係企業や関係者にヒアリングを行い、実態を調査していった。今回合弁会社を設立したJPHDもその調査対象。傘下の日本保育サービスは保育所「アスク」や学童クラブを運営している。

 「JPHDは、1993年から保育事業を展開し、全国で230ほどの施設を運営し、業績を上げている企業。話を聞いているうちに、志や考え方が一致していると思った。保育事業を一緒に展開するなら、その相手はJPHDしかないと考えた」(魚谷社長)

収益化は?

 新会社は資生堂が51%、JPHDが49%を出資して設立する予定。まず17年秋に資生堂掛川工場(静岡県掛川市)の敷地内に保育所を新設し、国が認可保育所並みの助成金を出す「企業主導型保育事業」として内閣府に申請。郊外型の事業者内保育所のモデルケースとし、他社からの受託につなげていく考えだ。

 魚谷社長は「社会貢献することで企業価値が高まると考えている。今すぐの収益化は目指しておらず、売り上げ目標や保育所件数目標は現在設定していない。ただ、一事業として適切な収入を得られるようにしたい」と話す。

 保育所をめぐっては、保育士が重労働な上、収入が低いことも指摘されており、今年1月時点で有効求人倍率が全国平均で1.74倍(厚生労働省調べ)と、人材不足が深刻化している。

 JPHDの荻田和宏代表取締役は「収入は少しずつ改善しているが、採用の難航は今後しばらく続くと想定している」とみている。ただ、「今回の事業は認可外保育所のため、人材は保育資格所有者だけに限らず、認可園の人材確保とはまた違う。音楽や英語などのプログラムを導入し、他の分野の先生を入れていくことも考えている」という。

事業所内保育所に子どもを迎えに来た父親(イメージ図)

「資生堂ショック」女性のキャリア支援と逆行?

 資生堂は昨年、1990年から取り組んできた育児中の時短勤務の仕組みを変更。遅番勤務や土日出勤を求めるようにし、「資生堂ショック」と呼ばれ大きな話題になった。一見すると女性のキャリア支援とは逆行しているようだが、同社はそうは考えていないという。

 魚谷社長は「女性のキャリアを真剣に考えるなら、会社側が経営の一環として支援の制度をきっちり作っていかなければいけない。またその仕組みも、社会の変化に合わせて変えていく必要がある。資生堂が時短の仕組みを変更したのは、『両立支援』から『活躍支援』に目的を変えたため」と説明する。

 さらに「女性に対して『支援する』という言葉を使っている時点で本当はダメで、男性と女性が協力していく社会を目標にしたい」とも。女性(母親)だけではなく、男性(父親)の働き方や意識の改革もセットにし、事業所内保育所からメッセージを発信し、男女の育児や仕事に対する意識改革を目指すという。

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