東海東京証券は11月7日、投資初心者向けのロボアドバイザー(ロボアド)「カライス」の提供を開始した。ロボットが投資家のプロファイルに応じて自動的に資産運用の提案や運用を行うサービスで、投資になじみが薄い若い世代の取り込みを図っていく。
インターネット上で7つの質問に回答すると、利用者ごとに適したポートフォリオとバランス型ファンドを診断し、提案する個人投資家向けサービス。「手軽さ」「誰でも運用しやすいバランス型投資信託の提示」「購入手数料無料」「年0.54%の信託報酬」が売りだ。
同社のWebサイトやネットトレードページ上で無料で利用できる。年齢やリスク許容度に関する質問にユーザーが答えていくと、5タイプのポートフォリオと、5タイプの投資タイプ結果と適したバランス型ファンドを提示。新規ユーザーの場合は新規口座開設の申し込みへと誘導、既存顧客の場合は商品の注文画面にジャンプするようになっている。最低投資額は1万円からと非常に安い。
システムは自社とパートナーベンダーによる開発で、提案ファンドのタイプ分けは三菱UFJ国際投信の「eMAXIS 最適化バランス」を利用する。「カライス」はラテン語でトルコ石の意味で、成功・命中といった意味ももつ。「利用者の初めての投資、ベーシックな投資を成功させたい」という思いを込めた。
東海東京証券は、中部地方を基盤にする証券会社。43万の口座数と5兆1131億円の預かり資産を持っているが、うち3兆3000億円以上が個人資産で、その多くが70代以上のものだ。
石田建昭会長兼CEOは「東海東京証券の最大のミッションは、個人投資家の資産形成のお手伝い」と語り、自社の課題を「次世代(若年層)に対しての新規開拓」と見る。カライスを通じて、30〜40代で、投資に対する知識や興味があまり高くない層の開拓を目指す。また、既存の対面での接客を「煩わしい」と思う層に対しても利用を促していきたいという。
金融とテクノロジー(IT)を掛け合わせた「FinTech(フィンテック)」は近年注目を集めており、既存の金融機関や証券会社もITの導入を進めている。今回発表となったロボアドは、海外では大きな市場になっており、日本でも導入が進みつつある技術。みずほ銀行の「SMART FOLIO(スマートフォリオ)」や 楽天証券の「楽ラップ」などが既にサービススタートしており、一部報道によると野村證券もロボアドの開発を進めているといわれている。
3カ月で5万人に無料診断を体験してもらい、これをきっかけとして新規に5000口座の開設が目標。中長期的には、新規顧客の8割、既存顧客の2〜3割にカライスを利用してもらいたい考え。今後はより高度な機能追加やプラットフォームとの提携も検討していくという。
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