夫の不貞に耐えたのに、ヒラリーの悲しき末路世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)

» 2016年11月10日 07時13分 公開
[山田敏弘ITmedia]

「夫を信じている」と言い続けるしかなかった

 ヒラリーにはどうしても不貞大統領の妻というイメージが付きまとってきた。実はビル・クリントンの女性問題は実習生の件にとどまらなかったが、世界中にそんな彼の女グセの悪さが知れ渡るなか、ヒラリーは妻として「夫を信じている」と言い続けるしかなかった。夫の大統領任期が終了した後に別離する選択肢もあったはずだが、そうはしなかった。

 振り返ってみると、そうしなかったからこそ、大統領候補にまで上り詰めることができたのである。彼女は夫の問題を乗り切り、ファーストレディとしての職を全うし、その後上院議員を経た、という経歴がなければ、おそらく国務長官になることも大統領候補になることもできなかっただろう。

 ホワイトハウスでの女性スキャンダルは、実習生だった当時21歳のモニカ・ルインスキーがからむ不倫問題だった。ビル・クリントンが大統領になって2年ほどした1995年から、大統領とルインスキーは関係をもつようになり、超大国の最高司令官でもある大統領の執務室で、性的な行為に及んでいた。

 しかも1998年にこの事実が明らかになった際、ビル・クリントンは、アーカンソー時代の別のセクハラ事件で裁判になっていた。彼は、その公判で証言する予定になっていたルインスキーに、2人の関係について認めないよう口止めをし、彼自身も原告側の弁護士による質問に何ら関係はないと嘘の証言をした。

 するとワシントンポスト紙がルインスキーとのスキャンダルをスッパ抜く。ヒラリーは記事が出る朝に、寝室でビル・クリントンから直接弁明を聞いていた。しかしヒラリーにとっては、アーカンソー時代の疑惑もあったし、夫が過去に何度も不貞を働いていたために、ワシントンポストの記事にも「come out of the blue(寝耳に水)」ではなかったという。だが結局、大陪審で証言することになって逃げられなくなったビル・クリントンは、やはり別の日の早朝に寝室で泣きながらヒラリーに関係を認めたという

 世界中に知られしまった夫の女グセの悪さと女性スキャンダルだが、ヒラリーはどうしてそんな事態を耐え抜くことができたのか。なぜそんな夫を許すことができたのか。

 その理由は、大学時代に知り合った2人の「密約」にあったと言われる。

ヒラリーはなぜ夫の不貞を許すことができたのか(出典:ヒラリー・クリントンの公式サイト)

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