コロンビアとFARCに話を戻すと、住民投票で拒絶された和平協定は、時事通信が報じた通り、その後の再交渉によって11月13日に修正された協定が合意に至っている。現在分かっているところでは、修正後もFARCメンバーは禁固刑に処されることはないらしい。そして修正した協定は、再び住民投票に掛けられるかどうかは不明で、この先どうなるのかは未知数だ。
ノーベル平和賞を受けたプレッシャーで修正を無理に取り付け、その修正版がやはり国民の意思を反映していないとすれば、新たな争いに発展する可能性だってある。ノーベル平和賞が紛争を招く原因になったりしたら、笑うに笑えない。
とにかく、長年言われてきているが、ノーベル平和賞はもういらないのではなかろうか。
山田敏弘
ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。
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