ケアマネジャーを介護事業所から分離させよ(3/3 ページ)

» 2016年11月18日 06時46分 公開
[日沖博道INSIGHT NOW!]
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 ではどうすべきか。原則としてケアマネジャー業務と介護事業所を分離すべきだ。厚生分野では「医薬分業」(薬の処方と調剤を分離し、病院と薬局という別々の経営主体に分担させること)という実績もある。方向性は2通りあるのではないか。

 一つは、ケアマネジャーの報酬を上げ、彼らが独立した事業所を営めるように持っていくことだ。既にケアマネジャーとして資格を持ち、公正な立場で利用者に向き合いたいと考えている地域のケアマネジャーたちが寄り合って独立することを後押しするのだ。課題は、報酬をいくらほど上げるべきか、既に過剰になっている有資格者たちが全員独立したいとなったときに食べさせることができるのか、などが不透明なことだ。

 もう一つは、ケアプランの作成やその後のモニタリングといったケアマネジャー業務を、公的な機関である地域包括支援センター(もしくは自治体)に所属する「主任ケアマネジャー」に集約することだ。課題は介護事業所に所属する従来のケアマネジャーの処遇だが、多くは相談員等として介護事業所に残ってもらい、残りの一部は地域包括支援センターに再就職して、増強すべき「主任ケアマネジャー」職に就いてもらうことになろう。

 後者については地域包括支援センターにおける雇用増分の予算手当が各自治体には必要となるが、野放図なサービス給付にストップを掛けることができれば数倍から数十倍といった財政改善効果が見込めるので、ずいぶん安い投資だろう。

 いずれの方向でもよい。早く制度改定に向かうことが肝心である。そのためにはまず特区でいいので、それぞれの案(別段、上記の2つに限る必要はない)を試してもらいたい。そして混乱や問題の少ない方法に収れんしていけばよい。既に高齢化社会に突入してしまったわれわれには、もう手をこまぬいている余裕はないのだ。(日沖博道)

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