実際に移住を経験した人の働き方はどう変わったのか。
広島県呉市で飲食店などを展開する「合同会社よ〜そろ」代表執行役員の井上明さんは、九州の地方都市で就職後、出身の広島に戻ってきたUターン組。移住者としては少数派の「起業」に成功している。
井上さんは九州在住時に営業マンとして企業に7年間勤務。その後、妻の実家がある呉市へと8年前に移住した。会社を構えた御手洗地区は、瀬戸内海に面し、江戸時代の建物も残る町並みなどで知られる。現在は飲食店などのほか、移住希望者のための仕組みづくりにも取り組んでいるという。
「移住当初、観光ボランティアとして観光業を手伝う中、御手洗という地域に観光客向けの店舗が少ないことに気づきました」という。そこでカフェを開店し、うどん店や土産物店も立ち上げ、事業の幅を広げていった。「働き盛りの若者の移住を受け入れるための雇用作りも兼ねています」(井上さん)。
ただ、移住者の受け入れについては課題も残されているそうだ。
「移住希望者の住環境として人気の空き家ですが、データベース化や賃貸の仕組みの整備はまだ未完成。移住希望者と空き家を結びつけるシステム作りにも取り組んでいきたい」(井上さん)
移住先で起業を成功させるポイントは、地域の特徴を理解することだという。井上さんは「移住先で新たに事業を始める場合は、考え過ぎず、まずは行動に移してみるべき。働く中で、建物・風景・特産物といった『その場所にしかない特徴』を見つけ出し、事業展開の手がかりにすることが大事」と、働く地域や仕事内容が変わっても活躍するためのポイントを説いていた。
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