梨フレーバー開発のきっかけになったのは、いろはすシリーズのファンの声だ。15年夏、Twitterで桃をプロモーションしたいろはすチーム。「新製品は何が出ると思う?」と4択の予想クイズを出したのだ。クイズには1万人が回答。桃、ぶどう、梅、梨の中で、予想1位を獲ったのが梨だった。
「もちろん、『ユーザーが求めているのだからすぐ開発しよう!』というわけではありません。調査を重ね、梨を導入するべきだという結論に達しました。そして、約1年間じっくりと開発し、皆さんの期待を裏切らないクオリティーになりました。あじわいやパッケージのデザインも、かなりこだわって開発しています」(銭高氏)
梨のこだわりは、銭高氏によると「フルーツの味わいと、水のすっきり感のバランス」なのだという。梨のエピソードからも分かるように、いろはすは各企業が頭を悩ませているSNSを使ったプロモーションにおいて、多くの成功事例を生み出している。
「いろはすはコカ・コーラの製品の中でも、デジタルとの相性がいい。特にSNSでユーザーとのコミュニケーションが取れています。いろはすのターゲットは幅広いが、メインになっているのは20〜30代の男女がSNSを活用しているのが大きい。皆さん、いろはすを使って遊んでくれているイメージ」(銭高氏)
特に強いのがTwitterだ。公式アカウント(@ILOHAS)のフォロワー数は約23万人で、一時はTwitter Japanにおけるリツイート数の記録を持っていたほど、拡散力がある。
その拡散力は、単純な製品知名度だけで築きあげたものではなく、相互発信のコミュニケーションを交わしながら生まれたもの。例えば、桃フレーバー発売の際には、Twitterで1000人に商品を送るキャンペーンを行った。「商品プレゼントキャンペーンなら、ウチだってやっているよ」と思うビジネスパーソンもいるかもしれないが、いろはすは一味違う。
「商品をそのまま送るのではなく、桃の形の箱に入れて送りました。届いたユーザーは驚く。そして『こんなものが届いた!』と写真を撮って、TwitterやFacebookでシェアしてくれました」(銭高氏)
梨フレーバーの発売前にも、「いろはす なし1万名先行体験」と称し、桃と梨の飲み比べセットを送る大々的なキャンペーンを行った。リツイート数は11万を超え、あわせて2万本がユーザーの元に送られていった。
こうしたいろはすの事例は、日本コカ・コーラ全体に共有され、各ブランドにおけるマーケティング戦略に生かされている。プロモーションだけではなく、駅のホームで買う用途に向けた小さめサイズを生み出したのもいろはすだ。
「コカ・コーラは、新しいニーズと新しい市場を求めている。いろはすは日本コカ・コーラの中で、積極的に先陣を切り、最初に面白いことをやっていくブランドでありたいですね」(高木氏)
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