ここまでキャズム理論の概要を紹介した。このキャズム理論は、いま大きく進化している。最新キャズム理論は、現代の日本企業が直面している深刻な課題を解決できる可能性を秘めているのだ。
今から22年前の1994年、バブル後遺症に苦しみつつも日本経済は絶頂期を迎えていた。GDPは世界の17.5%を占め、翌1995年に「インターネット元年」を迎えた。多くの人たちは日本経済の未来を信じていた。
しかし21年後の2015年、日本のGDPは世界の5.7%。いつの間にか日本経済のシェアは3分の1に縮小している。この20年間で躍進したのは、米国ではグーグル、アップル、アマゾン、中国ではアリババ、韓国ではサムソンだ。彼らは貪欲にデジタル技術を取り込み、世界の顧客に対して新たな価値を生み出し、急激に成長していった。ここに日本企業の姿はない。日本は「技術立国」を標榜していたはずなのに、なぜ立ち後れてしまったのか?
それは皮肉なことに、技術中心で考えていたからだ。多くの日本企業が「これからは技術が大事だ」とばかりに技術だけを考え、肝心の顧客の価値を生み出すマーケティング思考がおろそかになっていたからだ。
「マーケティング」というと、ほとんどの人は「宣伝やプロモーションのこと?」と思いがちだ。しかしここで必要なのは、顧客に対する価値をいかに生み出し、顧客を創造していく、もっと広い意味での「マーケティング戦略」だ。
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