カラオケ「まねきねこ」大躍進の裏側長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/4 ページ)

» 2016年12月02日 06時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

新しい価値を付加する“既存業種新業態”

 客層は社会人、学生、ファミリー、カップルからお1人様まで幅広い。首都圏に注力するきっかけとなったのは、11年8月にオープンした東京・新宿歌舞伎町1号店の成功だ。顧客の圧倒的な支持を受け、大きな手応えを得た。

 「ビジョンの一つが“既存業種新業態”です。カラオケをはじめとするコンテンツについて、新しい価値を付加する、または異なる客層に軸足を移すことで新たな余暇の楽しみ方を提供してまいりました」(大和氏)

 既存業種新業態の例が、新規導入した「ゼロカラ」や「朝カラ」などのサービスだ。

 「ゼロカラ」は高校生グループで、代表者が学生証を提示すれば、ワンオーダー制で室料が無料となる激安サービス。カラオケ業界では趣味の多様化や少子化により高校生客の減少が深刻で、まねきねこでもピーク時より15%以上も減っていた。「ゼロカラ」実施により、高校生客が回復するだけでなく、高校生を含めたファミリー客の増加に寄与しているという。

photo 高校生に人気の「ゼロカラ」

 「朝カラ」は午前11時までに入室すれば、昼の12時までは誰でも30分10円となるサービスで、朝に活動するリタイアしたシニア層を狙った。新しい需要を創造している。

 また、まねきねこは自らカラオケ機器「すきっと」を13年に開発。自社店舗に導入している。カラオケメーカーは寡占化が進み、大手2社の第一興商とエクシングで市場を2分している。そのため、カラオケボックスの画一化は、避けられない状況になっているが、「すきっと」の開発はそれを打破する試みだ。

 「すきっと」では、スマートフォンで選曲などの操作ができるアプリを導入。自作の曲や動画をアップして歌える機能もある。ほかにも「ギタすきっ」という、顧客がギターを持ち込んで、ギターのパートを弾く、ギターカラオケも開発している。

 さらに、「VRカラオケ」ではコラボレーションしたアーティストの全方位映像を制作。HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着して歌うと、アーティストのメンバーに取り囲まれて歌っているかのような体験ができる。

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