コンビニは高齢化社会に対応できるのかコンビニ探偵! 調査報告書(4/4 ページ)

» 2016年12月05日 07時27分 公開
[川乃もりやITmedia]
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認知症の人への対策には専門家の配置が必要

 商品の会計をせずに店内で袋を開けて食べてしまったり、店の外に持ち出してしまったり――というのは、認知症のお客さんでよく見られる行動だ。こういう場合、最初は窃盗犯罪として対応しようとするが、どうも様子がおかしく「もしかして……」と思いその家族に連絡を取ると、認知症であることが判明するというパターンだ。

 認知症の影響で窃盗をした場合、民事上の責任無能力者であると判断される可能性は高い。ただ、店側としては通常の買い物と同様に代金の支払い義務が発生するので家族と話し合うのだが、そこでトラブルに発展するケースもある。もちろん、めったに起きることではないので店のロスとして片付けることもあるが、コンビニに限らず他の業界も対応策を考えておかなければならない課題である。

 また、常連のお客さんは店との付き合いが長いので、店員がその人を認知症だと認識できないこともある。先のケアマネジャーによれば、「お金を数えられなくなったらその予兆」ということなので、1つの判断基準として覚えておくといいだろう。


 このように、コンビニの接客には対高齢者の問題が潜んでいるが、それらは専門的な知識が必要なことが多く、対策は進んでいないのが現状である。高齢化が進み、今後はさらに問題が露出してくると想定できるが、筆者はコンビニの接客マニュアルが認知症の人に向けたモノになるのは難しいだろうと考えている。

 本格的な対策には専門家を配置する必要があるが、同じく専門家を要する薬の販売が進んでいないことからも、今のコンビニチェーンには専門家を雇う余裕がないことは想像に難くない。

著者プロフィール・川乃もりや:

 元コンビニ本部社員、元コンビニオーナーという異色の経歴を持つ。「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」を目の当たりにしてきた筆者が次に選んだ道は、他では見られないコンビニの表裏を書くこと。記事を書きながら、コンビニに関するコンサルティングをやっています。「コンビニ手稿


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