組織文化の「10原則」とは?企業はどうあるべきか(3/11 ページ)

» 2016年12月07日 11時45分 公開
[Strategy& ]
プライスウォーターハウスクーパース・ストラテジー株式会社

1. 現在の文化状況とともに、または、文化状況の中で取り組む

 深く根付いた組織文化を単にアップグレードしただけのものや大規模なオーバーホールに尽力することによって、取り換えることはできない。また、パソコンのOSやCPUであるかのように、文化を新しいものと交換することもできない。ある意味で、それがまさにあなたの文化状況を表す現実であり、そこには、本来の優位性を企業に与える要素と、ブレーキとしての役割を果たすかもしれない要素の両方が含まれている。悪いことばかりの文化や良いことばかりの文化など見たことがない。

 従って、文化とともに効果的に取り組むには、文化そのものを理解するとともに、どのような特徴が卓越し、一貫したものであるかを認識し、また、どういった条件下であれば、それらの特徴が役に立ちそうか、あるいは妨げになりそうかといったことを把握しておかなければならない。

 別の言い方をすれば、文化の特徴には陰と陽の両方が存在しているのだ。

 例えば、ある欧州の製薬会社では、堅実な製品開発パイプラインを有しているものの、内向きになる傾向があった。実行力は高く、規制に対するコンプライアンスについても世界中で優秀な成績を残していた。ところが、新製品の上市の準備が整うと、医師をはじめとする医療サービス提供者へのマーケティングがうまくいかない。そこで、例えば、外部の専門家の意見よりも社内の同僚の意見を尊重する傾向が全体的に見られるといった、会社に染みついた偏狭さを嘆くよりも、リーダーたちは、このような文化の特徴を有利に利用することを決めたのである。従業員が顧客をサポートするために「求められている以上の働き」をすれば、同僚から感謝され、見返りが与えられるというプログラムを立ち上げた。

 新しいタイプの社内の権威を認識することで、会社は既に内在していた強力な感情の引き金を引き、新しく(また戦略的に重要な)行動を営業担当者の間に生じさせたのである。

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