DeNAはなぜメディア運営方針を変更したのかキュレーション問題で経営陣が謝罪(2/2 ページ)

» 2016年12月08日 12時25分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]
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MERYだけ公開を続けようとした理由は?

 なぜDeNAは、WELQの問題が発覚した際にキュレーションメディアを一括で非公開にせず、当初はMERYの存続を試みたのだろうか。守安社長は、運営体制の違いが原因だと説明する。

 「MERYは、子会社化した後もペロリが独自に運営する体制を続けていた。オフィスも当社とは別のまま。残りの9つのメディアは、DeNAのキュレーションプラットフォーム事業部が運営し、執行役員の村田マリが管理していた」(守安社長)

 ただ、村田氏にどの程度の責任があるかは明言せず。責任の所在は、第三者委員会の調査によって明らかにするという。

 管理元が違うため、MERYとその他のメディアは執筆体制が異なっていたという。守安社長は、「MERYは知識をもたない外部ライターの起用を抑え、記事をほぼ内製化していた」と説明した。

 「MERYに記事を執筆していた外部ライターは約10%程度。WELQなど9メディアの記事は、全体の9割を外部ライターが担当するなどクラウドソーシングに大きく依存していたが、MERYは学生のアルバイトやインターン、直接雇用したライターが執筆する場合が多かった」(守安社長)

photo 今後の対応を伝えるペロリのホームページ

 また、ニュースサイト「Buzzfeed Japan」の指摘で明らかになった、他のメディアの文章を引用・模倣し、記事を大量生産するためのマニュアルも、MERYでは使用が確認されなかったという。

 そこで当初は、MERYの記事は信頼性を担保できていると考え、一部の記事を非公開にするのみで存続が決定。しかし、「絶対」「抜群」「誰でも」「100パーセント」など、記事の正確性を誇張するような単語を機械的に検出したところ、合計約12万件の記事が該当。画像の出典元が不明な記事は約1万件見つかり、全体の8割に問題があることが発覚し、全記事非公開が決定した。

マニュアルは誰がいつ作った?

 記事制作マニュアルについて、守安社長は「誰が作ったのか把握していない」という。2社を買収した時点で既に存在していたのか、買収後にDeNA側で新しく作ったのかといった時系列も謎のままだ。

photo 記事作成プロセス

 ただ、DeNAがキュレーションメディア事業を開始する際に、かつて他のメディアから記事や画像を盗用して批判を受け、閉鎖に追い込まれたバイラルメディア「BuzzNews」の関係者が複数名参画している。BuzzNewsの元メンバーがマニュアル作成にどの程度関与していたのか、そして現在もDeNAに存在するのかは、いずれも現時点では不明。キュレーションメディア運営の指示系統についても、第三者委員会が究明にあたるとしている。

 南場会長は、「前回の騒動を非常に反省していたため、採用を決めた。結果的に同様の問題を起こしてしまったため、我々の教育が甘かったと言わざるを得ない」と話した。

 今後は第三者委員会が1週間以内に発足し、2〜3カ月かけて調査を行う予定。

経営陣は続投

 守安社長は、「辞めるつもりはない。信頼を回復させ、企業を成長させたい」と続投する意向を明言。南場会長も、「私の一存で決めることではないが、可能であれば引き続き社長をやってもらいたい」と信頼を強調した。キュレーションメディア事業の関係者については、第三者委員会による調査で事実関係が明らかになり次第、人事制度にのっとって今後の処遇を決めるという。

photo 報道陣との質疑応答で、守安社長への信頼を強調する南場氏
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