3つ目は「ガバナンスの欠如」である。企業の不祥事においては、ガバナンスが欠如したケースがかなりの割合で見受けられる。管理体制の甘さによるものだが、最も問題なのは、経営トップが起きた物事について、不祥事が発覚するまで把握していなかったケース、もしくは把握していた上で不祥事の核心を隠蔽(いんぺい)しようとするケースである。
今回のDeNAの不祥事では、その核心がまだ明らかになっておらず、第三者委員会の調査に委ねられる。また、経営トップは以前から問題があることを把握していたようだが、その問題がメディア事業にとってどれほど重要であるかを認識していなかったのではないか。
しかもスタートアップ企業が母体となっている事業なので、ガバナンスを効かせる上で躊躇(ちゅうちょ)があったのでは、とも推察される。ガバナンスを効かせようにも、やっていることの重要性を認識して臨まないと現場には響かない。今回のケースはその典型ではないだろうか。
4つ目は「ブランドへの影響」である。企業の不祥事における謝罪会見で、経営トップに「今回の出来事が自らのブランドにどれくらい影響を与えると考えているか」と尋ねると、誰しも一瞬、顔をこわばらせる。ブランドは一言でいうと「利用者の信頼」だと筆者は考える。ほとんどの経営者はそれを知っているからこそ、顔がこわばる。真摯(しんし)に答えようとするからだ。
今回のDeNAの不祥事にこれをあてはめれば、社名だけでなく各キュレーションサイト名によるブランドは「読者の信頼」があってこそ成り立つ。果たして、DeNAではその確固たる認識が経営トップや現場のマネジメント層にあっただろうか。キュレーションメディアとして10媒体を立ち上げた背景を見ると、マーケティングのためのブランド作りにしか見受けられない。
この点については、読者としても、メディアを選別する上で同じ多くの読者の信頼を得ているブランドかどうかを見極める目を養いたいところである。また、広告会社にはページビュー(PV)だけでなくブランド力もできるだけ正確に推し量る分析を行ってもらいたいものである。
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