一方で、接客がなくなることはメリットばかりではない。システムばかりが先行して、お客さん側がついてこられないこともある。例えば、その1つがコピー機だ。
現在、コンビニに設置してあるのは「マルチコピー機」と呼ばれるもので、写真の現像やチケットの販売など、さまざまなことが行えるようになっている。コピー機と銘打ってはいるが、もはやただコピーするだけのものではなくなった。
ひと昔前なら、コピー機を利用しているお客さんが店員を呼ぶのは、用紙やトナーがなくなったときだけだった。ところが、多機能になり操作も複雑になったことでさまざまな質問を受けるようになり、従業員の手伝いが不可欠なサービスとなっている。
また、スマホなどのデバイス利用を前提としたAmazon GOのようなスタイルは、利用者を制限してしまう可能性が大きい。高齢化が進む日本においては、高いハードルになるだろう。誰でも気軽に入れることをウリにしているコンビニが、一部の人しか利用できなくなる仕組みを導入するはずがない。Amazon側はそれらも含めてのイノベーションを狙っているのだろうが、果たして想定通りにうまくいくのだろうか。
本家である米国でも、初めはAmazonの従業員だけに限定したテストを行うようだ。「商品を手に取りレジで精算」というこれまでの常識がなくなるのは近未来感があって魅力的だが、すぐに「売り上げが劇的にアップ!」「人件費が大幅に削減!」というわけにはいかないかもしれない。
結果を急ぐあまりに、消費者から「Amazon don't go」と言われないことを願うばかりである。
元コンビニ本部社員、元コンビニオーナーという異色の経歴を持つ。「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」を目の当たりにしてきた筆者が次に選んだ道は、他では見られないコンビニの表裏を書くこと。記事を書きながら、コンビニに関するコンサルティングをやっています。「コンビニ手稿」
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