日産のアラウンドビューモニターを活用 探査機の海中実験成功海洋調査技術が前進

» 2016年12月19日 19時21分 公開
[ITmedia]

 日産自動車は12月19日、海洋研究開発機構(JAMSTEC)、トピー工業と共同で実施している、アラウンドビューモニター技術を活用した遠隔操作無人探査機(ROV)の浅海実験に成功したと発表した。海中で周囲の状況を把握する技術を開発することで、作業効率の向上に貢献する。

photo ROVにアラウンドビューモニター技術などを装着した高効率海中作業システム(イメージ)

 実験は、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムで進められている海洋資源調査技術の開発の一環。2015年4月からROVの試作ユニットを共同開発している。

 アラウンドビューモニターは、車に設置したカメラの映像を処理し、真上から見ているような映像を表示する技術。車の周囲の状況が分かる映像をドライバーに提示し、駐車などを支援する。日産が2007年に世界で初めて採用した。

photo 海中実験を行った高効率海中作業システム

 今回、ROVにアラウンドビューモニター技術などを装着した「高効率海中作業システム」で海中実験を実施。ROV自身を任意の視点から客観視するような立体的な映像をリアルタイムで表示することに成功した。

 水中高度計などで海底面を探知して映像に反映させることから、海中の様子を部分的に3Dで表現できる。水深3000メートルでも使用可能だという。

photo 全周囲を表示した画像の例

 実験では、ROVの周囲の状況を確認しながら位置や姿勢を調整し、海底に設置された模擬岩の掘削に成功。技術の実用化にめどを付けた。

 この技術を活用すれば、船上でROVを操作する作業員が瞬時に海底やROVの状態を把握できるため、海中における作業効率の大幅な改善が見込めるという。

 今後、世界で1000台程度普及している大型ROVにこの技術を搭載したり、窓が小さく視野が狭い有人潜水船の運転支援に活用したりすることが期待できるという。実用化に向け、深海での動作確認などの実験を継続していく。

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