「モーパラ」「鍋ぞう」ロングヒットの理由長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/3 ページ)

» 2016年12月28日 10時21分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

鍋が外国人に人気 インバウンド需要に対応

 モーパラは、東京に3店、海外に40店を展開しており、国内よりも海外で著名なチェーンだ。海外展開を進めた結果、現地でモーパラを利用した人、知っている人が、日本に旅行した際に、ガイド本を持って訪れるケースが増えている。

 いま、海外の日本観光ブームに乗ってインバウンドが好調だ。モーパラ歌舞伎町店は今年10月18日、外国人客が7割を占めるほどの支持を集めていることを踏まえ、オープンから初の大規模リニューアルを実施。外国人から見て洗練されたクールなしゃぶしゃぶ、すき焼きの専門店を意識し、鍋、内装を一新した。

 鍋においては、野菜を専用のカートで各テーブルに運ぶ、ホテルのワゴンサービスのような新しいシステムを採用。店内中央に、「野菜セラー」を設置して15種類以上の野菜を陳列した。しゃぶしゃぶとすき焼きによって、相性を考えた異なった野菜を提供し、具材用を含めてカートも3つに分けている。野菜のサイズは鍋に入れたときに食べやすいサイズにこだわっている。

photo 「野菜セラー」

 肉は牛肉、豚肉ともに、提供時にベストな状態になるよう、カットから提供までの時間と温度管理を仕組み化。10度くらいの肉が鍋にしたときに一番おいしいので、冷凍された肉を1日半のスケジュールを取って、徐々に解凍していくように工程を改善した。

 タレは醤(ひしお)の郷である小豆島の天然醸造、濃口しょうゆをベースに使用。しゃぶしゃぶ用ポン酢は、山口県産の橙の果汁とかつお、昆布の旨味を合わせ、無添加で風味豊かに仕上げている。ごまダレは、錬りごまとごま油をベースに、くるみやピーナツを加えて深みある味わいを追求した。さらに、すき焼きには、沖縄の「黒糖蜜」極上の割り下を用意し、赤鶏が産んだ旨味とコクが凝縮された「こくみたまご」を絡めて楽しむ。

 「鍋の業態なので夏は3割売り上げが落ちますが、外国人はあまり関係ないと思いますね。最近はアジアばかりでなく、欧米の人たち、特に仏国とイスラエルからの旅行者が増えてきています。外国人の集客には口コミが一番なので、モーパラの魅力が伝わっていくことを期待してます」(同社・ワンダーテーブル営業第1部、大根田正ゼネラルマネジャー)

photo しゃぶしゃぶ、すき焼きは訪日外国人に人気の料理の一つ

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