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» 2017年01月10日 08時00分 UPDATE

スピン経済の歩き方:だからトランプに負けてしまう トヨタの急所 (2/5)

[窪田順生,ITmedia]

トヨタが抱える「不安要素」

小説・巨大自動車企業 トヨトミの野望』(著・梶山三郎、講談社)

 では、このままトヨタもトランプ氏のムチャぶりに屈してしまうのか。それとも、豊田章男社長が表明した1兆円規模の投資のような駆け引きをして、この「トランプリスク」をうまく回避するのか。

 もちろん、日本人としては後者を信じたい。が、残念ながら胸を張ってそう断言できぬ「不安要素」をトヨタはひとつ抱えている。

 それは2016年10月にでた『小説・巨大自動車企業 トヨトミの野望』(講談社)だ。

 ご存じの方も多いかもしれないが、「梶山三郎」という覆面作家が綴った企業小説で、トヨタをモデルにしたのではないかと話題となっている。

 物語は豊臣家がつくったトヨトミ自動車を舞台に、武田剛平というたたき上げのサラリーマン社長と、豊臣統一という創業家のサラブレット2人の主人公を軸にして展開していく。ザックリ言うと、フィリピンに左遷させられるほどダイナミックな社員だった武田が、創業家に実力を買われ、社長としてトヨトミ自動車の危機を救うサクセスストーリーなのだが、その一方で、現実のトヨタの登場人物、あるいは裏面史とビミョーにリンクするところが「見どころ」として注目を集めているのだ。

 事実、マスコミ業界では「人物対照表」なる怪文書が流れており、それによると主人公の武田剛平は奥田碩氏(現トヨタ相談役)、豊臣統一は豊田章男社長だという。他にも過去のトヨタ幹部や関係者が実名でずらりと並ぶほか、武田が米国事業拡大の足がかりにした佐橋龍之介は、小泉純一郎元首相。統一の友人である政治家・山本幸二は、山本幸三内閣府特命担当大臣という大物政治家の名前も見ることができる。

 面白そうな小説だけど、これのどこが「不安要素」なのさと首を傾げる方も多いだろうが、実は企業のリスクと、「企業小説」は密接に関わっている。

 例えば、同じ自動車業界で分かりやすいので、日産自動車を例にしよう。ここをモデルにした小説といえば、1986年にでた高杉良氏の『労働貴族』(講談社)が有名だ。

 日産は70年代から川又克二会長、石原俊社長、そして自動車労連(現・日産労連)・塩路一郎会長の「三頭政治」で率いられてきた。この3人の権力は絶大だったが、中でも塩路氏は、当時勢いのあった労組をちらつかせて経営・人事にまで介入し、社内では「塩路天皇」と恐れられていた。その塩路氏をモデルにした小説である。

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