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» 2017年01月25日 07時00分 UPDATE

キャリアとの戦いの行方は:格安スマホ、17年は総務省ガイドライン改定が追い風に

MMD研究所が、MVNO市場の調査レポートを発表。2016年の“格安スマホ”のユーザーは、全体の約1割だった。17年にMVNOがさらなる発展を遂げるには、サービスの独自性が求められるという。総務省のガイドライン改定も追い風になりそうだ。

[濱口翔太郎,ITmedia]

 流通大手のイオンや、無料通話アプリのLINEが参入するなど、格安スマートフォン業界は急速に発展しつつある。携帯電話事業者(キャリア)は、格安スマホを手掛ける移動体通信事業者(MVNO)の台頭を警戒し、価格を抑えた「学割」などの施策を次々と発表している。

 では実際のところ、格安スマホのユーザーは、キャリアを脅かすほどに増えているのだろうか。スマートフォン・タブレット市場のリサーチを手掛けるMMD研究所が、2016年のMVNO市場動向調査の結果を発表した。

格安スマホの使用者は増加中も、現段階では市場の1割程度

 同社の調査によると、「現在、格安スマホを利用している」と答えた人はスマホユーザーの11.8%で、昨年の結果を3.1ポイント上回り過去最多に。さらに「サービス内容を理解している」は2.2ポイント増、「利用を検討している」は3.5ポイント増、「格安スマホの利用経験がある」は2.0ポイント増と全段階で前年比を上回り、MVNOの認知度は向上している。

photo 2016年のMVNOの認知度

 キャリアの契約を解約し、格安スマホに乗り換える動きも着実に進んでいる。格安スマホのユーザーに契約の経緯を聞いたところ、「キャリアを解約した後、番号ポータビリティ(MNP)によって電話番号を据え置いたまま格安スマホに乗り換えた」が35.1%、「キャリアを解約した後、MNPを使用せず新規で契約した」が20.3%と、キャリアからの“乗り換え組”が半数以上を占めた。

photo 契約の経緯

契約者数は楽天モバイルが最多

 16年に契約者数が最も多かったMVNOは楽天モバイルで、全体の20.7%を占めた。中国Huawei(ファーウェイ)と提携し、独自の端末を販売したことなどが人気につながったという。次いでOCNモバイルONE(NTTコミュニケーションズ)が13.5%、IIJmio(インターネットイニシアティブ)が9.2%、mineo(ケイ・オプティコム)が8.9%だった。

photo サービスのシェア

 調査結果をふまえ、MMD研究所の吉本浩司所長は「MVNOは浸透しつつあるが、ユーザーは全体の1割超と少なく、キャリア優位の状況はまだ続いている。現在のキャリアのユーザーの多くは、他社への乗り換えに積極的でない傾向がある。17年以降、MVNOがさらに発展するには、顧客が興味を持つような取り組みをさらに進める必要がある」と説明した。

MVNO各社は「カウントフリー」に注力

 現在、MVNO各社は、特定の操作に限りデータ通信量を消費しない「カウントフリー」制度を相次いで導入。人気のアプリが使い放題になるサービスを展開し、顧客の取り込みに向けて工夫している。

 BIGLOBEは、動画と音楽ストリーミングサービスが使い放題の「エンタメフリー オプション」を提供中。FREETELは、各種メッセンジャーアプリに加え、ゲームアプリ「ポケモンGO」が無料になる「メッセンジャーアプリ データ通信料0円サービス」を展開する。LINEモバイルは、同社の音楽サービス「LINE MUSIC」に加え、TwitterやFacebookなどのSNSが使い放題の「MUSIC+プラン」を18日に開始している。

photo BIGLOBEの「エンタメフリー オプション」

 このようなMVNO独自のサービスがさらに充実すれば、キャリアとの差別化とユーザーの確保につながるとみている。

 インターネットイニシアティブ(IIJ)の佐々木大志氏(ネットワーク本部技術企画室担当課長)は、「MVNOは、スマホユーザーに向けた独自のプランだけでなく、これから発展するIoTやウェアラブルで使用する回線に進出するなどの新しい発想が必要かもしれない」と話し、携帯事業以外にも視野を広げることを提言する。

総務省の動きにも注目

 また、佐々木氏は「17年のMVNO市場の行方を占う上では、総務省の動きにも要注目」と話す。総務省は1月10日、「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」を改定。SIMロックに関する規制を大幅に緩和した。

 具体的には、端末購入からSIMロック解除が可能となるまでの期間が、分割払いの場合は100日程度に短縮される(現在は180日)。一括払いで購入した場合は、即座にSIMロックを解除できる。キャリアが提供する端末を解約後、他社に乗り換えることを防ぐために設けられていたSIMロックも廃止される。一連の改定案は、2月以降に順次適用が始まる。

photo 総務省が発表した改定案

 この動きを受け、MMD研究所の吉本所長は「17年は、格安スマホをメイン端末として使用するユーザーがさらに増えるだろう。中でも、SIMロック解除期間の短縮が影響し、大手3キャリアからMNPを使用してMVNOに乗り換える動きが加速する。認知度も高まるため、各社のプランを把握し、どのMVNOと契約するかを決めてから端末を購入するユーザーも増加する」と予測する。

photo 吉本氏による今年の展望

 17年は、MVNOとキャリアの戦いはどのような動きを見せるのだろうか。総務省による規制緩和は、携帯業界に大きな影響をもたらしそうだ。

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