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» 2017年01月27日 07時00分 UPDATE

視覚障害者など支援:音声ナビ、日本橋で実証実験 「Watson」も活用

清水建設、日本IBM、三井不動産が、2月から合同で実証実験を開始する。「Watson」の対話技術を活用して利用者のニーズを把握し、目的地を設定。音声ナビゲーションによって案内する。視覚障害者や訪日外国人への対応を見込んでいる。

[濱口翔太郎,ITmedia]

 清水建設、日本アイ・ビー・エム(IBM)、三井不動産は1月26日、スマートフォン向けの音声ナビゲーションシステムの実証実験を2月に東京・日本橋室町地区で行うと発表した。スマートフォンアプリなどを活用し、視覚障害者や車いす利用者がスムーズに移動できるよう支援し、バリアフリーな街づくりにつなげる。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年ごろの実用化を検討する。

photo 実証実験の仕組み

 実験は2月1〜7日は視覚障害者、2月8〜28日は一般利用者、車いす利用者、訪日外国人を対象に、複合商業施設「コレド室町」と周辺の地下通路などで行う。同エリアは、交通結節点にITを導入して情報サービスを充実させる国土交通省の「次世代ワイヤレスコリドー形成プロジェクト」の拠点に指定されている。

photo ワイヤレスコリドー形成プロジェクト

 実験では、店舗や通路の天井に計224個のBluetooth発信機(ビーコン)を埋め込み、誤差1〜2メートル程度と高精度に位置情報を取得。利用者は専用アプリ「NavCog」を起動し、食べたい料理などをスマホに向かって話しかけると、IBMのコグニティブ(認知型)システム「Watson」を活用した対話技術によって、施設内の店舗をピックアップ。目的地が決まると、音声と地図によるナビゲーションが始まる仕組みだ。英語での対話と案内にも対応している。

photo アプリが対話内容を理解する様子
photo アプリが地図を表示する様子

 ナビゲーションでは、一般歩行者には最短経路を、車いす利用者には段差のない経路を提示。地図上に現在の位置を示しながら、曲がる位置などを音声で指示する。視覚障害者には「9メートル進み、正面のエレベーターで3階に上がる」「エレベーターの右側にボタン、点字有り」など、詳細な情報を音声で提供し、目的地に案内する。

photo ナビゲーションの仕組み

 清水建設は施設内の段差、勾配、緯度、経度などを計測し、空間情報データベースを構築。三井不動産は、施設内の店舗の特色や、取り扱う商品に関する情報を提供する。日本IBMは、ビーコンの電波データから利用者の位置情報を測位するアルゴリズムと、コグニティブ・システムを用いた対話型アプリの開発を担った。

 IBM 東京基礎研究所 フェローの浅川智恵子氏は、「私は視覚に障害があり、1人で街を歩くこと、買い物をすること、レストランを探すことなどが難しい。今回のシステムでは、利用者の位置取りに即したリアルタイムでの案内が受けられるため、行動範囲が大きく広がった」と自信を見せる。

photo 浅川氏を誘導するデモの様子

 ただ、テナントが入れ替わった際や施設を改築した際に情報を更新する方法が確立されておらず、実用化に向けては課題が残されているという。実証実験では、アプリ内に利用者アンケートを設けて意見を聞き、システムの改善につなげるとしている。

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