「右足首負傷の状態が深刻であれば話は別だが、我々が入手した情報によればそこまでデリケートなレベルではないと聞いている。そういう観点で考えれば、WBCはむしろ出なくてよかったと思う。彼は投打両面のスペシャリストであり、非常に特殊なプレーヤー。そういう選手が短期間のWBCで全力プレーすれば、果たしてどうなるか。少なくとも普通の選手の2倍以上の負担が体にかかるという見立てもできる。負傷を抱えたままWBCに出たら単に悪化するどころか、選手生命も危うくなっていたかもしれない。
彼は一昨年の秋にプレミア12でもプレーしているが、日本にとってWBCは当然それ以上に権威のある大会だけにそこにかける思いは相当強かったはず。後先のことを余り考えずに全力で戦うだろうから、本当にパンクしてしまうかもしれないよ。そういう意味では、いいジャッジメントだったと思っている。これは大谷を獲得したいと考えているメジャー球団の総意ととらえてもらってもいい」
それだけでは終わらない。そのナ・リーグ球団関係者はこうも続けた。
「彼についてはWBCに出なかったことで評価は上がったと言っていい。残念ながらWBCの価値は日本と米国の間で大きな温度差がある。たとえWBCでメジャーリーグ公式球(WBC公式球と基本的に同一規格)を使って各国代表に散らばっているメジャーリーガーと対戦する機会を失っても、我々は彼が100%に近い能力を発揮すればメジャーリーグで十分通用することが十分分かっている。
今さら再確認する必要はないし、負傷悪化のリスクを背負ってまでやることではない。それよりも今は負傷を完全にケアし、メジャーリーグ行きを認めてくれた球団のためにレギュラーシーズンで活躍することのほうが大事だと思う」
確かに米アリゾナ州ピオリアで2月10日まで行われている日本ハム春季キャンプには、前出の関係者が属するチームも含めメジャー複数球団のスカウトたちが大谷をチェックするため足繁く通って目を光らせている。右足首負傷で完全別メニューの調整を強いられているが、それでもスカウト陣は一挙一動を見逃すまいと熱視線を送ってメモを取っていた。日本の至宝に対するメジャーの評価は、まだ変わらず高い証拠だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング