コンサル業界は働き方改革をできるのか人気業界の一角(2/2 ページ)

» 2017年02月16日 05時30分 公開
[日沖博道ITmedia]
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 今、日本社会のあちこちで長時間労働の是正が叫ばれている中、彼らは業界の「ビジネスモデル」や「従来の常識」を変えることができるのだろうか。役員がこうした「従来の常識」にとらわれている限り、若手が「長時間労働」を避ける術は限られているだろう。この業界に期待して入ってきた前途有望な若者が体や精神を病むだけでなく、いつか自殺騒ぎが生じるような事態を懸念せざるを得ない。

 そもそもコンサルティングのようなサービス業界で「長時間労働」が常態化するというのは、

  1. むやみな安売りをしているために従業員の人件費をダンピングさせないと足が出てしまう
  2. そもそも仕事量に見合ったスタッフを用意していないか
  3. 仕事の計画性がなくて無駄なことをたっぷりさせているか

 の掛け合わせであるのが普通だ。

 しかし大手コンサル会社でまともに経営しているところで1.と2.の要素が大きいとは考えにくいため、一番致命的な要素は3.の計画性の問題だと言えそうだ。つまりクライアント企業からはそれなりに大きな金額でプロジェクトを受注しておきながら無駄な作業に時間を費やしてしまい、途中から挽回のためにプロジェクトメンバーに残業を強要しているという構図だ。

 本来、コンサルティングの仕事というのは、最初に「イシュー分析」(戦略系のマネジャー以上の経験者なら常識だろうが、SIが中心の総合系や総研系でも教えているのかは知らない)というものをきちんとしてプロジェクトを計画し、それに沿ってクライアントから予算をいただいておけば、長時間労働などに頼らなくともリーズナブルな時間とコストで完遂できるものだ。むしろ長時間労働で切り抜けようなどとしている時点で、そのプロジェクトの品質は警戒レベルに落ちていると知るべきだ。

 そしてクライアントの責任も皆無ではない。きちんとした予算を付けたはずなのに責任者があまり現場に顔を出さず、マネジャー以下が睡眠不足の青い顔でため息をついているようなら黄信号だ。そんなやり方を続けていては、いずれミスが生じるか迷走しかねないし、よいアイデアも生まれない。即刻、コンサル会社の責任者に警告を出すべきだ。 (日沖博道)

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