軽自動車の歴史とスズキ・ワゴンR池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/4 ページ)

» 2017年02月27日 06時00分 公開
[池田直渡ITmedia]
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 今後さらに厳しさを増すことが避けられないCAFE規制に対し、マイルドハイブリッドを搭載して低燃費化をより推し進め、併せて近年のスズキの重要技術であるボディの軽量化を前進させた。安全装備や環境技術を追加しつつ、旧型比で20キロの軽量化を実現した。

太いBピラーの内側にはアンブレラホルダーを配置。ピラーデザインを機能にどう生かすか苦労した節がうかがえるが、傘に付着した水分を社外に排出するなど、利点はしっかり設けられている 太いBピラーの内側にはアンブレラホルダーを配置。ピラーデザインを機能にどう生かすか苦労した節がうかがえるが、傘に付着した水分を社外に排出するなど、利点はしっかり設けられている

 実際に走ってみると、最初に感じるのがマイルドハイブリッドによる低速トルクの補完効果だ。軽自動車である以上、「豊か」とまでは言えないが、明らかに発進や加速が楽になっている。乗り心地も上々で、相手によってはBセグメントを凌ぐ場合すらある。デザイン優先のベンチシートの弊害で、座面の後ろ側の圧が足りない。お尻がシートの後ろにはみ出しているような落ち着かない感覚がある。これは要改善。しかしシートのクッション性は良好なので、素材よりも形状の問題だと思われる。

 また、ステアリングに関しては、このところセンター付近で異常な引っかかり感、あるいはスティック感が強かったスズキだが、それはだいぶ改善された。しかし、直進時の微舵修正、つまりステアリング外周で数ミリレベルでの操作に対してはまだフリクション感が残っており、何でもない微舵修正に筋力を要する感じがある。ここはもっと思い切ってスルスルと動いてほしいところである。

機能配分を見直したシート 機能配分を見直したシート

 販売上の中心になると思われるマイルドハイブリッドモデルには、軽自動車初のヘッドアップディスプレイや、ぶつからないブレーキのリーズナブルなセットオプションが用意されるなど、装備の充実が図られ、かつてのシンプル路線から、高ホスピタリティ路線へと方針を変えている。スズキの存在感は、グローバルで見ても極めて高く評価されている。国内の中核モデルとなるワゴンRのモデルチェンジはその勢いがそこここに感じられるものになっている。

筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)

 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

 現在は編集プロダクション、グラニテを設立し、自動車評論家沢村慎太朗と森慶太による自動車メールマガジン「モータージャーナル」を運営中。

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