やっぱり本田圭佑の移籍は難しい、これだけの理由赤坂8丁目発 スポーツ246(3/3 ページ)

» 2017年03月03日 07時31分 公開
[臼北信行ITmedia]
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イバラの道を乗り越えることができるのか

 このように考えると、新経営陣がシアトル側の関係者と同じテーブルに着いて移籍金ゼロで放出を認め、最後にシェイクハンドする姿はなかなか想像できない。米スポーツ専門局『ESPN』と契約するMLS担当ビートライター(番記者)の1人も、これらの要素を踏まえて次のように打ち明けた。

 「この本田獲得プランはまだまだ波乱含みなところもある。不安視されるのはシアトルの撤退だ。さまざまな材料を総合すれば、本田を6月以降に獲得することはシアトルにとってリスクが大きくなることも考えられる。いくら移籍金ゼロだからといっても1シーズン、ほとんど試合でプレーしない状況が続けばどんなスーパープレーヤーでも劣化する。これから先、試合に出られない3か月の出遅れは大きい。

 ましてや6月はMLSのシーズン真っ只中だ。オフ期間ならば自身の再調整や新たなチームメートたちとの連係確認にも時間を費やせるが、試合勘が相当に鈍っている本田をいきなりシーズン中盤の大事なゲームで起用することはチーム全体に混乱を招く危険性も出てくる。6月まで常時出場しているような選手であれば話は別だが、本田はそうではない。フィットどころか逆に爆弾となってしまうかもしれない選手の獲得を、シアトルは結局断念するのではないか」

 シアトル・サウンダーズは昨季リーグ4位からプレーオフを勝ち上がり、年間王者を決めるMLSカップを初制覇した。米国代表のFWクリント・デンプシーやウルグアイ代表のMFニコラス・ロデイロら代表クラスの主力も在籍しており、本田にとって悪い環境ではない。MLSでのプレー機会が増えれば、レベルアップにもつながる。

 日本代表でも苦境に立たされている本田が2018年ロシアW杯を目指すならば、これまでの報道のような“エアオファー”ではなく、何としてでもシアトルに移籍しなければいけないだろう。果たして本田はイバラの道を乗り越え、米ワシントン州シアトルのサウンダーズ本拠地「センチュリーリンク・フィールド」に立つことができるのだろうか。

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


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