JRダイヤ改正で市販時刻表もダイワリ改正杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/4 ページ)

» 2017年03月10日 07時45分 公開
[杉山淳一ITmedia]

JTB時刻表、関東以南の6ページ増を東北と北海道で吸収

 台割の変化はJTB時刻表のほうが大きかった。先頭から追っていくと、特急の98〜99ページ。JR北海道の特急再編の影響を受けて大きく変わった。従来は98ページに札幌〜旭川間の「スーパーカムイ」と函館〜東室蘭(室蘭)〜札幌間の「北斗」「スーパー北斗」「スズラン」、99ページに札幌〜帯広〜釧路間の「スーパーおおぞら」「スーパーとかち」だった。3月号からは札幌〜旭川〜網走・稚内の欄が上段見開き。下段に札幌〜帯広〜釧路となった。

 函館〜室蘭〜札幌間の特急は次の100ページに移った。道北方面の列車が前ページ見開きに移動したためだ。これは札幌〜網走・稚内間の直通減便を受けて、旭川接続の見やすさに配慮したようだ。札幌〜旭川間の「カムイ」と「ライラック」の違いはグリーン車の有無だ。JTB時刻表は特急列車の車両形式を記載しているけれども、どちらも「789系」。ただしグリーン車付きの789系は前面がグリーン。青函特急「スーパー白鳥」で使われた。

 特急の138ページはJR九州の特急の掲載順が変わっている。不通区間があってスカスカだった「九州横断特急」の欄が縮小されて、新しい特急「かわせみやませみ」「いさぷろう」「しんぺい」が追加されている。

 246ページからの内房線・外房線方面は、下段のいすみ鉄道と成田線我孫子〜成田間の掲載順が入れ替わった。いすみ鉄道が外房線の下になり、接続が分かりやすくなった。成田線は上野〜成田間から我孫子〜成田間に短縮され、始発終着欄で補っている。

 296〜297ページの奈良線は土曜・休日ダイヤが増発された。ページ数を増やさないため、「みやこ路快速」の表記を記号に変えて行数を稼いでいる。

JTB時刻表の呉線・芸備線三次〜広島間の変更 JTB時刻表の呉線・芸備線三次〜広島間の変更

 大きく変わったところは320ページからの呉線(上段)・芸備線三次〜広島間(下段)だ。呉線と芸備線の増発が行われ、320〜324ページとなって1ページの増加。芸備線はそれでも足りずに327ページまで続く。これに押し出される形となって岩徳線・錦川鉄道の掲載順が繰り上がり、可部線が後ろになった。可部線はダイヤ改正で可部〜あき亀山が延長されたため掲載枠が上下に少し拡大している。このあたりの配置変更はパズルのようで、編集者の苦心が現れている。

 芸備線と可部線の拡大で2ページ増となった。そのため、以降は前号より2ページずつズレていく。山陰本線方面は、今まで京都〜福知山(下り・上り)、福知山〜鳥取(下り・上り)と分かれた掲載が、京都〜鳥取までの掲載に拡大され、下りと上りが別ページの掲載となった。舞鶴線も組み込まれている。下段には嵯峨野観光鉄道・小浜線・境線が配置されている。巧みに支線を吸収したけれども、山陰本線方面は2ページの増加となった。なお、福知山線は平日・土休日の分離掲載をやめた。ページ数は変わらない。

 496ページからの金沢〜直江津間を構成するIRいしかわ鉄道・あいの風とやま鉄道・えちごトキめき鉄道(日本海ひすいライン)は1ページの減少。列車本数は増えている。しかし、直通列車が増えて1行にまとまったため、ぎゅっと詰め込んでいる。見開き4ページが3ページで終わったため、信越本線を見開き始まりにするために飯山線としなの鉄道の掲載位置が繰り上がった。516ページの太多線は上段4ページ分をまとめて1ページ単体表示になり、長良川鉄道と愛知環状鉄道の枠が拡大されている。金沢〜直江津間の1ページ減少は太多線に使われたようだ。

 558ページからの高崎線・上越線は2ページの増加。ここまでで6ページ増となっている。逆に589ページからの東北本線仙台〜盛岡間は1ページ減少。603ページからの常磐線品川〜いわき間も1ページ減少だ。残り4ページの増加分をどこで取り返すか。減便が続くJR北海道、ということになる。

 658ページからの函館本線・室蘭本線・千歳線、函館〜札幌間は下りが1ページ減。上りも1ページの減。670ページは函館本線の小樽〜札幌〜旭川間が8ページ。前号までは長万部〜小樽〜札幌〜旭川間が16ページにわたり、下段に室蘭本線東室蘭〜室蘭と岩見沢〜苫小牧、日高本線などの接続路線が配置されていた。

JTB時刻表の北海道の変更 JTB時刻表の北海道の変更

 しかし、これだと運行本数が短い長万部〜小樽間がスカスカのまま16ページも占めてしまう。そこで大胆にも長万部〜小樽間を切り離し、室蘭本線の東室蘭〜室蘭と岩見沢〜苫小牧・留萌本線を見開きにまとめ、札沼線を見開きに独立させ、日高本線・富良野線を見開きにまとめた。ここで2ページの削減に成功し、JR北海道だけで4ページを捻出できた。684ページの石勝線以降は前号と同じページになっている。意地の悪い見方をすると、北海道新幹線延伸後の並行在来線となる長万部〜小樽間のほか、JR北海道から切り離されそうな路線をまとめたようだ。

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