西武鉄道の強みは何かグループ全体でレジャーを提供(1/3 ページ)

» 2017年03月13日 08時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]

 西武新宿から、あるいは池袋から埼玉県へ路線を伸ばしていく西武鉄道。「小江戸」「ちちぶ」「むさし」といった特急列車が走り、支持も集めている。そして、3月25日に「S-TRAIN」(有料座席指定列車)に使用される40000系がデビューする。この車両は、ロング・クロス転換機能を備えた車両であり、東京メトロ副都心線を経て東急東横線・みなとみらい線にまで乗り入れ、元町・中華街へと向かう列車に使用される。

 通勤列車だけではなく、楽しい列車も多くある西武鉄道。列車だけで楽しさを演出しているのではなく、グループ全体でレジャーを提供している。

運行を開始する「S-TRAIN」

遊園地経営に強み

 西武関連の遊園地といえば、としまえんと西武園ゆうえんちである。としまえんは西武池袋線を練馬で乗り換え、豊島園というそのものずばりの駅で降りる。夏のプールで有名だ。

 西武園ゆうえんちは西武多摩湖線西武遊園地駅、西武園線西武園駅で下車する。こちらは東京ディズニーランドに対抗すべく、アトラクションに力を入れ、「ハローキティメルヘンタウン」というのもある。もちろん夏はプールもある。

 夏のプールだけでも楽しいのに、冬にはスキーもできる。西武球場前駅の最寄りに「狭山スキー場」があり、大都市圏内であっても、人工雪でスキーをすることができる。全天候型の屋内スキー場だ。これも、西武鉄道の傘下である。

 楽しむことにかけては、東京周辺では西武鉄道の右に出るものはいない。こういったところでつちかったノウハウが、好景気時代の苗場スキー場などの繁栄を生み出したのだろう。

 としまえんを除き、観光施設は所沢市周辺に多くつくられている。つくられた当時は土地がたくさんあったからということももちろんあるものの、この地につくられたことにより、都内から向かってくる人の流動が生み出されている。

 人の流れをみると、多くの人は朝に都心へ向かい、夕方には郊外へ向かう。「なに当たり前のことを言ってるの?」と思われたかもしれないが、逆方向の流動があれば利益がアップするという考えもある。休日でも都心で楽しみたい人は多く、西武の地盤である池袋も、買い物などで多くの人があふれている。そこから、もうひとつの流れを生み出せるのが、所沢周辺の遊園地である。

 人を引きつけるレジャーが、本来とは逆の人の動きを生み出し、それが経営の発展につながる。そのカギとなっているのが、遊園地である。

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