とはいえ、アイデアや構想は頭の中にあったものの、現実的に震災後しばらくは人が住む場所もままならなかったので、工場の片隅を事務所代わりにするしかなかった。広さは10畳ほどで、窓もないような場所だった。そうした苦しい状況を何とか耐え、2016年夏に新しいオフィス兼工場を立ち上げたのである。
BRT(バス高速輸送システム)の志津川駅近くに建つそのオフィス内部は、まるで都心にあるスタートアップ企業のような雰囲気で、社員たちがコーヒーを飲みながらソファで談笑する光景が日常的に広がっている。とても水産加工の会社というイメージからはほど遠い。
「皆が生き生きと働ける場を作りたかった」と山内氏は話す。
「働いてくれる人がいなくなったら会社は終わりですからね」
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