中国人犯罪者はなぜQRコードを狙うのか世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)

» 2017年03月23日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

カネの動くところに犯罪者が集まる

 QRコードはカメラをかざすだけで簡単に実世界とサイバー空間を結びつけ、さらにWeChatなどのおかげもあって支払いも簡素化されて生活の一部になっていることで、もはや中国ではなくてはならないインフラになっているのだ。

 ただカネの動くところには犯罪者も集まる。QRコードが中国人の財布の代わりになりつつあるということで、そのあまりの普及ぶりに、現在QRコードを狙った「QRコード強盗」まで増えているのである。多い手口は、犯罪者が自分で作った偽のQRコードを正規のコード上に重ねて貼り付け、利用者の情報を抜いたり、支払いをさせたりするやり方だ。

 2017年に入ってから、広東省では1450万ドルがQRコード強盗によって盗まれたと報じられている。中国の中華日報によれば、QRコードの爆発的普及を懸念して、強盗被害が出る理由は2つあると警鐘を鳴らす。QRコードが安全ではないことと、コードは目では本物かどうか見分けがつかないことだという。

 ただそんな懸念があっても、もはや中国人にとってQRコードの勢いは収まる気配がない。

 日本では認知症高齢者に使うことで注目されているQRコードだが、実はビジネス面でも改めて注目されている。というのも、中国人の利用者があまりに多いので、日本を訪れる中国人を狙ったマーケティングのツールとして効果が期待されているのだ。間違いなく、中国人にリーチするには格好の手段である。

 日本では、多少勢いはなくなっているとはいえ、相変わらず来日する中国人を相手にしたビジネスは注目されている。2016年、訪日外国人観光客数は前年比21.8%増の約2404万人と過去最多を記録した。訪問者の中で、中国人の数は約640万人で全体の30%近くを占めている。

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