中国人犯罪者はなぜQRコードを狙うのか世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)

» 2017年03月23日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]
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日本が犯罪組織に狙われる可能性も

 2020年には東京五輪もある。QRコードや、WeChatといった中国人の間で流行っているアプリを使ってのPRの話も耳にする。中国をターゲットにするなら、そうした手段はもはや不可欠だからだ。飲食店や観光地などでも中国人を相手に、QRコードをメニューに付けて即座に中国語に翻訳できるようにしている場所も出始めているし、今後は中国人から要望の多いWeChatなどの決算サービスが増えるかもしれない。

 また現在、インドでもQRコードを普及させようとする動きがある。インド政府がQRコード決済を推進し、すでに利用可能な店舗がインド国内で爆発的に増えている。日本では今、インド人訪日客も多くなり、今後インド人訪日客がどんどん増加するようになれば、日本でのQRコードの利用拡大を求める声が高まる可能性もある。

 ただインバウンド狙いでWeChatやQRコードなどの決算が日本でも広がれば、現在の中国のように犯罪組織に狙われる可能性もある。その点も用心しつつ、QRコードを今以上に普及させれば中国人を相手にアピールすることができる。日本企業も中国人の消費者を狙うなら、すぐにでもQRコードを始めたほうがよさそうだ。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。


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