テレワーク全面導入の富士通に学ぶ「ワークスタイル変革」「モノ」から「コト」へ

富士通が2017年4月からテレワーク制度を全社員対象に導入する。同社は過去にもIT化によるワークスタイル変革に挑戦した「先駆者」。成功のカギとなる「モノからコトへ」の取り組みとは?

» 2017年04月13日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
PR

 「約3万5000人の全社員を対象にした、テレワークの導入」――各社が模索を続けるワークスタイル改革に、ITサービス領域で国内最大手の富士通が乗り出したインパクトは大きい。同社が2017年4月から導入するテレワーク制度は、「場所にとらわれないフレキシブルな働き方」を実現するもの。同社の開発するAI(人工知能)技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」も活用し、将来的にはサービス化につなげていくことを発表している。

 システムからデバイスまでを手掛ける同社は、その豊富な知見をどのように取り入れ、自らのワークスタイルを変革するのか。ITmedia ビジネスオンライン編集部が主催するセミナーで、富士通のオファリング推進本部 ワークスタイル変革オファリング統括部 オファリング企画部シニアマネジャーの松本国一氏がテレワーク導入のポイントについて語った。

富士通に学ぶ「ワークスタイル変革」

ワークスタイル変革は「モノ」ではなく「コト」から

 同社のワークスタイル変革への取り組みの歴史は長い。08年にはWindowsケータイ「F1100」を発売、同機種を利用したモバイルソリューションの提供を開始した。いわゆる「働き方改革」の先駆者とも言えるが、「当時はモノを中心とした提案となっていたため、お客様のニーズに適した改革ソリューションとは言い難い状況でした」と松本氏は認める。しかし、このときに得られた気付きが、後の同社の取り組みにも生かされているという。

富士通のオファリング推進本部 ワークスタイル変革オファリング統括部 オファリング企画部シニアマネジャーの松本国一氏

 10年4月には、現在の政府主導の「働き方改革」に先駆けて、在宅勤務制度を導入。サテライトオフィスの利用やモバイルワークはそれ以前から可能だった。15年にはフレックスタイム制を導入、1200人の社員を対象としたテレワークのトライアルを実施している。16年には、育児・介護やキャリアアップのために退職した社員の再雇用制度を導入。そして17年、回数制限のないテレワークの全面導入に至る。

 前身となる富士通信機器製造株式会社の設立からは80年以上が経過しており、同社には「“古い体質の会社”という指摘もある」(松本氏)。社内にはもともと「会議はフェイス・トゥー・フェイスでしっかりやった方がいい」という雰囲気があったが、現在は「ビデオ会議が1日6000回ほど開かれている」そうだ。このような変化の背景について、松本氏は次のように語る。

 「『F1100』のソリューションからも分かるように、機器やサービスなど“モノ”の導入だけではワークスタイル変革は実現できません。そのため、我々はワークスタイルビジョンの策定、つまり“コト”から取り組みを始めました。世の中の“先行事例”や“成功事例”を学び、自分たちが本当にしたい“コト”を考えたのです。就労・労務規則の見直しやセキュリティ指針変更、インフラ選定・運用は、その次のステップと言えるでしょう」

 例えば、今回同社が導入するテレワークも、組織の制度や風土によっては導入が困難だ。一見働き方変革の“万能策”に見えるが、「働かせすぎ」「隠れ残業」「サボり」などのリスク、セキュリティや労務制度など社内都合とのバッティングもある。そもそも「働き方を変えたくない」という人さえいる。だからこそ、「何のためにワークスタイル変革が必要なのか」という理念が組織に浸透していることが必要になるのだという。

 「テレワークの本質は場所や時間からの解放」と強調する。移動時間の削減は、心身の疲労低減と能率向上につながる。また、育児介護事由による離職防止は、多様な人材が活躍できる職場環境を実現する。災害時に迅速な対応が可能になれば、事業継続性の観点からもよい。いずれにせよ、「労働人口は将来的に数百万人単位で減ります。企業は付加価値を創出して人員減少を食い止めなければいけません」(松本氏)

富士通流「ワークスタイル改革」の具体的なステップ

 では、ワークスタイルビジョンの策定後、どのような施策に取り組んだのか。松本氏は、具体的には以下のようなフローが実践されたと紹介する。

1.ビジネス変化への即応性向上

  • 市場、経営環境の変化
  • 事業再編、組織統廃合

→コミュニケーション強化

2.多様な働き方の実現による個人能力・組織力の最大化

  • 環境を選ばない業務
  • 災害時などの業務維持性

→場所と時間を選ばない環境

3.人と人との繋がりによるイノベーション創出

  • 組織の枠を超えた人の交流
  • 個人スキルの活用拡大

→グローバルでの“知”の共有

 このように、ビジョンを描いてからさまざまな検討を行い、トライアルを積み重ねた。特に同社がその強みを発揮したのはインフラ選定・運用のフェーズだ。

 同社が今回のワークスタイル改革で採用し、他社にも提供する「どこでもオフィスソリューション」では、その名の通り、どこでもメンバーの状態確認とメンバー間の情報共有ができる。シンクライアントシステムやIPテレフォニーシステム、高度な認証機能を備えたVPN接続サービス、携帯電話各社の通信カード、Web会議サービスまで、必要な機器やサービスの全てをワンストップで提供するのが特徴だ。

 中でも、作業環境の仮想デスクトップ化(VDI)には、会場からも注目が集まった。同社は国内全従業員8万人のPC業務を全て仮想デスクトップに移行することを発表している。「とんでもない予算がかかるのでは」「画期的なサービスを自社開発したのか」などの疑問への答えとして、松本氏は「お客様と変わらないシステムを導入した」と明かした。しかし、予算を潤沢に注ぎ込んだわけではない。

 カギは社用デバイスの利用実態にあった。同社は各従業員が利用できる仮想環境上の1人当たりのデータ容量に制限をかけることで、VDI化を実現した。それ以上の容量が必要な場合は、共有ファイルに保存する。これは、従業員間の社用デバイスの利用データ容量にばらつきがあったことを逆手に取った形だ。松本氏は「ワークスタイル改革には数々の工夫を凝らしていて、苦労もある」という。

 「制度や方針が決まり、環境が整ってくると、今度はデバイス自体の使いやすさが期待されるようになります」と語る松本氏。テレワークで使うPCには、「堅牢性」「サポート体制」「セキュリティ」など、要求も多い。これらについては、同社の法人向けノートPC「LIFEBOOK」シリーズが1つの解決方法となる。

 新製品の「LIFEBOOK U937/P」は、カバーの素材にマグネシウム合金、ボディーには底面から側面までを一体化して剛性を高めた「バスタブ構造」を採用し、35kgf(キログラム重)の負荷がかかっても大きな傷はつかないことが特徴だ。同社独自の手のひら静脈センサーを使った生体認証を搭載することができ、「“軽さ”“セキュリティ”などの点も優秀」(松本氏)。延長保証メニューやニーズに合わせたサポート体制が選択できるのも魅力だ。富士通社内でも、「このPCを自分用で使いたい」という声は多いという。

 このように、ワンストップでワークスタイル改革を実現できるのが、ソフトからハード、コンサルや運用までを手掛けている富士通ならではの強みだ。

ワークスタイル変革を支えるデバイス「LIFEBOOK U937/P」

 松本氏は富士通のワークスタイル改革を「テクノロジーの進化により自由度が増し、変革の過渡期にある“働き方”そのものを再定義し、未来の働き方を描くための共創モデル」と説明する。社会、そしてその一部である組織の変化が加速度を増す中、従来的な「場」や「枠組み」にとらわれたワークスタイルは形骸化し、急速に意味を失いつつある。同社の取り組みは、後に続く企業にとってのマイルストーンになるだろう。

ワークスタイル変革に不可欠なWindows PCとタブレット


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2017年5月12日