安倍夫人はやっぱり「珍しい存在」、これだけの理由世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)

» 2017年03月30日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

日本のファーストレディとして非常に珍しい存在

昭恵夫人は海外からどう見られているのか(安倍晋三首相のFacebookページ)

 そもそも安倍夫人は海外からどう見られているのだろうか。

 実は、昭恵夫人については、批判的な報道はほとんど目にしない。彼女を紹介する海外記事をみると、記事の流れがほぼ決まっている。伝統的にあまり表に出ない控えめな首相夫人が多かった日本で、昭恵夫人は日本のファーストレディとして非常に珍しい存在だ――。

 そして多くの記事で、首相の妻である彼女が、家庭内では「野党」であることを紹介している。彼女がいかに安倍首相の主張と反する立場を見せてきたかを紹介するパターンが多い。

 昭恵夫人については、今回のニュースより前に海外で大きく注目された出来事がある。2016年8月21日の、ハワイの真珠湾攻撃追悼施設「アリゾナ記念館」への訪問だ。

 この訪問は当時、歴史の「修正主義者」と指摘されることが多い安倍首相が、第二次大戦の犠牲者を慰霊する意味で真珠湾に歴史的な訪問をする呼び水になるのではないかと報じられた。実際に首相の真珠湾訪問がその後に実現しており、昭恵夫人が日本の政治や外交において首相の言動にかなりの影響力があるかのように報じられている。

 そんなことからも、外国の日本政治ウォッチャーなどから見れば、このファーストレディは「珍しい存在」である。事実、彼女は世界基準で見ても、型破りな首相夫人だと言っていい。

 彼女を希少な首脳夫人にしている理由は、メディアとのインタビューで政策について持論を述べていることだ。例えば、2014年の英ロイター通信のインタビューでも、「I think there are still areas where, if not a waste, taxes are not being used properly and could probably be fixed(無駄だとは言わないまでも、税金が適切に使われておらず、おそらく見直しのできる分野がまだあると思います)」と税制について語ってみたり、国家の方向性を大きく左右するエネルギー政策については、「If there are alternative sources of energy, I would like them to stop (nuclear power). I'd like them not to restart off-line reactors.(代替できるエネルギー源があるなら、私は〈原子力発電を〉停止してもらいたい。停止している原発の再稼働はしてもらいたくない)」と反原発の主張をしている。

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