安倍夫人はやっぱり「珍しい存在」、これだけの理由世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)

» 2017年03月30日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

新たな世界基準をつくろうとしているのか

 これは米国のトランプ大統領について、就任前から問題視されている利益相反のケースと本質は同じである。影響力の強い大統領は、政策や言動が、自分の個人的なビジネスで利益にならないよう、就任までにビジネスから手を引く必要がある。またそれは大統領の家族にも当てはまる。

 事実、不動産会社を経営していたトランプは就任までに、会社との関係を絶った。大統領選などでトランプと一緒に選挙戦を戦った子供たちはもともとトランプの会社に勤めていたが、長男ドナルド・ジュニアと次男エリックはビジネスに戻るためにトランプ政権との関係を完全に断ち、トランプの会社で役員だった長女イヴァンカは逆に、トランプ大統領を支えるために、会社関係の役職はすべて辞任し、所有する株式もすべて売るなどビジネスとの関係を絶っている。利益相反にならないためだ。

 もちろん海外がすべて正しいなどと言う気はないし、大統領と首相は立場が違うために一概には比較できないのは分かる。だがトランプのケースを踏まえた感覚で昭恵夫人の居酒屋やそのほかのカネを生む活動を見ると、違法性がないのは分かるが、利益相反を指摘されてもおかしくないと思える。

 もしかしたら、昭恵夫人は、日本のみならず、世界基準で見ても従来のファーストレディ像の域を超えた存在だと言えるかもしれない。首脳の夫人という役割を、これまでの殻から破り、未来志向で新次元に導き、新たな世界基準をつくろうとしているのだろうか。

 だが逆を言うと、単純に、好き放題にやりすぎてファーストレディの役割から逸脱してしまっているだけとも見える。そして気がつけば、森友学園のようにその実態が賛否を呼ぶような学校の名誉校長にまで就任してしまっていた、ということなのかもしれない。

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