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» 2017年04月06日 10時00分 UPDATE

「利便性」と「セキュリティ」の両立:なぜ朝日生命は顧客満足度向上にタブレットPCが不可欠だと感じたのか?

営業の基本である「顧客満足度の向上」のために、多くの企業がさまざまな施策を展開している。生命保険大手の朝日生命保険は、契約手続き時における顧客の利便性アップに向けて、それまで営業職員に配付していたノートPCをタブレットPCへ置き換えることを決断した。そこで課題となったのがセキュリティの担保だった――。

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成熟市場で成長を続けるために

 世帯加入率が9割を超え、少子高齢化などを背景に保有契約高がほぼ横ばいを続ける国内の生命保険業界。この成熟市場にあって、売り上げを維持、さらに拡大するために、生命保険会社には顧客満足度のさらなる向上が強く求められるようになっている。

 そこで、各社が積極的に利用を推し進めてきたのが各種ITツールだ。新規契約の検討時に、保険商品の将来的な保障額や保障範囲について、営業職員からPCを使った説明を受けた経験がある人も多いことだろう。保険商品は「万一の際の保障」を目的とする点で、他の一般的な商品と一線を画す。従って、提案時には顧客に寄り添い、要望に深く耳を傾けた上で最適と判断とされる商品を提案し、さらに、顧客が納得いくまで説明できるかどうかが大切だ。保険商品に馴染みの薄い人々にとって、ITツールを使った説明は視覚的に分かりやすく、それだけ安心して契約を結ぶ助けとなるだろう。

 こうした中、全国約1万2000人の営業職員を抱える朝日生命は、顧客へのプレゼンテーションや各種手続きに使用しているノートPCを、2018年1月よりタブレットPCに刷新することを発表した。同社がタブレットPCに着目したのはなぜなのか。また、刷新を通じて何を期待しているのか。

タブレットPCで新規契約手続きを電子化

 1888年に帝国生命として創業した朝日生命保険は、国内の保険会社の中でも老舗の一社である。創業以来、顧客、社会、従業員への責任を果たす「まごころの奉仕」を一貫して経営理念に掲げており、そこで積み上げた信頼を基に契約者の裾野を着実に拡大させてきた。

 そんな同社がタブレットPCに着目した一番の理由が、冒頭に述べた顧客満足度の向上である。タブレットPCの活用によって、これまで書面で行っていた新規契約手続きを電子化して、顧客の作業を簡便化するのが狙いだ。

 同社では従来から営業職員にノートPCを配付していたが、必ずしも担当者が携帯するとは限らなかった。保険の設計内容の見直しやプレゼンテーションなどで便利な反面で、女性が多く年齢層も幅広い営業職員にとって、体力面で持ち運びが困難だったり操作に不慣れだったりなどの事情があったからだ。また、申し込み手続き書類は営業職員が営業所にてノートPCを使用して作成しているが、顧客には作成した紙へ記入・押印してもらっていた。

朝日生命保険 情報システム企画部 営業情報設計室長の田中和生氏 朝日生命保険 情報システム企画部 営業情報設計室長の田中和生氏

 こうした紙ベースの業務には顧客満足の観点から問題があったという。例えば、作成した申込書などに誤りがあれば、書類を作り直し、改めて顧客訪問する必要があった。顧客に手間をかけないためには、訪問回数はできる限り少ない方が望ましいのに、だ。また、申込書はその後、専門部署で審査などが行われるが、紙の物理的な郵送には少なからず時間やコストを要す。さらに、各種契約書類の枚数も膨大になるため、厳格な管理のために広いスペースの確保と、人手での作業が不可欠だった。

 朝日生命の情報システム企画部で営業情報設計室長を務める田中和生氏は、「保険商品は、保険金のお支払いや契約の満了まで、お客さまとのお付き合いが継続します。その間には、契約内容の見直しなども発生しますが、紙ベースの業務では対応に時間を要し、その結果、お客さまに不満を抱かれる可能性がありました。タブレットPCであれば営業職員が持ち運び、その場でお客さまにタッチパネル操作で簡単に入力してもらうことが可能です。説明から契約の手続き、内容の確認までを一括して行える仕組みを整備し、よりお客さまに寄り添った営業活動の実現を目指しました」と力を込める。

生体認証の採用を決めたワケ

 タブレットPCの選定にあたり、朝日生命が最も配慮したのが「セキュリティ」だった。外出先での利用が前提であるため、必然的に紛失や盗難のリスクが増すからだ。

 「例えば、デバイス内にデータを保存しないシンクライアントのような技術を使えば、契約時にネットワーク経由でデータをサーバへ常に転送することで、顧客情報の漏えいを防ぐことができますが、通信環境の悪い状況での契約も多々あるのです。紙ベースの業務を置き換えるツールだけに、使えない状況は何としても避けつつ、セキュリティを確保する必要がありました」と田中氏は振り返る。

 「顧客情報の漏えい防止」と「通信状況を問わない利用」の2つの要求を満たすべく、同社が要件として掲げたのは、万一の紛失時にも情報漏えいを防止可能な本人認証技術や、データ消去技術の搭載だった。この2つの要求に高いレベルで応えていた点で、最終的に朝日生命保険が白羽の矢を立てたのが、富士通製のタブレットPCであった。

朝日生命が採用した富士通のタブレットPC 朝日生命が採用した富士通のタブレットPC

 朝日生命では本人認証の手法として、IDとパスワードに加えて、二要素認証の採用を当初から決めていた。例えば、USBポートに接続して利用する認証デバイスは、USB自体の紛失が避けられないと思った。指紋や顔などの認証方法も各社から寄せられたが、「顔認証は、マスクやメガネの有無、さらに髪型などの経年変化への対応度に確信が持てず、採用を見送りました。また、指紋は、年齢や季節等の要因で認識されないこともあります。富士通のスライド式静脈認証であれば、経年変化の影響を受けず、セキュリティを確実に担保できることを高く評価したのです」と田中氏は話す。

富士通ならではの遠隔操作技術

 富士通が今回、提案したスライド式静脈認証技術は8ミリメートル幅の光学ユニットにより、手をスライドさせながら静脈パターンを分割して読み取り、手のひら全体の静脈パターンの照合を行う同社ならではの技術により実現したものだ。これにより、タブレットのフレーム部分へ搭載できるため高い携帯性が確保されたのだ。

富士通のスライド式静脈センサーは画面に置いた指をスライドさせて静脈認証する(画面は開発中のため変更される場合があります) 富士通のスライド式静脈センサーは画面に置いた指をスライドさせて静脈認証する(画面は開発中のため変更される場合があります)

 また、富士通のタブレットPCには万一の紛失時にも、遠隔操作で端末内のデータ消去が可能なソフトウェア「CLEARSURE(クリアシュア) 3G/LTE」も搭載。一般的に遠隔でのデータ消去をうたう製品は、端末が起動してネットワーク接続後にデータの消去処理が始まる。つまり、その時点まで情報を盗まれているリスクが存在した。だが、CLEARSUREは、タブレットが起動したり、ネットワークに接続されたりする前に対処が可能。具体的には、常時、通電している通信モジュールが、センターからの消去指示を基に起動し、BIOSレベルでデータ消去や端末ロックなどを実施するものである。これにより、紛失端末の悪用や、そこからのデータの漏えいリスクを抑えられるのだ。

 一方、通信状態を問わない利用については、同社は運用面の工夫で対応を図る計画だ。具体的には、顧客から申し込みなどが見込まれる場合には、事前に作成した申込書データなどを社内システムからタブレットPC側へダウンロードしておき、手続き後、社内システムへのデータ転送と同時に端末データを消去するという新たな仕組みで対応を図ることにした。

 これら以外にも、富士通が果たした役割は極めて大きいという。

 「持ち運びを優先すれば、おのずと選定すべきタブレットPCは軽量かつ小型の製品になりますが、その場合には耐久性の低下が避けられません。富士通からは、堅牢性を考慮した上で、十分な衝撃対策が盛り込まれた製品を提案してもらえました。視認性の面から要件に挙げていた10.1型ディスプレイも用意してもらいました。こうしたきめ細やかな心遣いは、保険業界でタブレットの導入実績が多く、ノウハウを持っている富士通ならではでしょう」(田中氏)

 なお、利用するタブレットPC画面は、人によって色や文字の大きさといった好みがバラバラだ。こうした中、より多くの顧客にとって負担をかけず、シンプル、迅速、正確な手続きによるサービス向上を目指し、朝日生命では「保険設計書」および「保険加入の電子手続き」の画面デザインで、第三者機関である「ユニバーサル コミュニケーション デザイン協会(UCDA)」の意見を取り入れるなどした。

 朝日生命では、営業職員に新たなノートPCを配付するたび、操作方法などに関する講習会を実施してきた。ノートPCからタブレットへの変更となる今回は、講習会の開催はもちろん、慣れてもらうための期間を長めに取る計画である。具体的には、2017年9月から導入を開始し、来年1月から本格運用を開始する。

 そこで期待される効果は、顧客満足度の向上だけにとどまらない。書類の電子化により、これまで必要だった各種書類のスキャナを使用した読み取り作業が削減するなど、大幅な業務効率化が見込まれる。また、契約情報などが電子化されることで部門間のやり取りが迅速化し、契約成立までの日数が大幅に短縮できる。

 「事務作業量の削減によって生まれた時間を、顧客満足度に直結する業務に充てられるようになります。」(田中氏)

 タブレットPCの導入により、果たして朝日生命はどれほどの成果を上げることができるのか。活用に向けた取り組みは、いよいよこれからが本番だ。

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提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2017年5月15日

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