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» 2017年04月10日 08時00分 UPDATE

店内調理を強みに:できたて提供 ローソン「まちかど厨房」開発に込めた思い (1/4)

ローソンが全国3500店舗に展開する「まちかど厨房」。店内調理の弁当やサンドイッチなどが好評だ。まちかど厨房担当部長の鷲頭裕子さんに、店内厨房に取り組んだ経緯や込められた思いについて聞いた。

[加納由希絵,ITmedia]

 ローソンは、店内で調理した弁当やサンドイッチなどを販売する「まちかど厨房」を全国約3500店舗に展開している。厚さ2センチのとんかつを挟んだ「厚切りロースかつサンド」などが人気の商品だ。店内厨房の開発や全国展開を進めてきた、まちかど厨房担当部長の鷲頭裕子(わしず・ひろこ)さんが大切にしているのは「現場感」。店舗経営にメリットのある仕組みを模索し続けながら、実施店舗を広げてきた。

photo ローソン商品本部カウンター商品部まちかど厨房担当部長の鷲頭裕子さん

おにぎりから挑戦

 まちかど厨房の展開は2011年に始まったが、実はそれ以前にも弁当を店内で調理する取り組みがあった。最初は04年に始めた「できたて弁当」。中堅コンビニで店内調理の弁当やパンを販売する店舗はあったが、大手では珍しかった。「競合店がやらないことをやる」ことを目的に開発した。その後も店内厨房の事業モデルの開発と失敗を繰り返した。カウンター内に本格的なライブキッチンを構え、来店客の見えるところでフライパンを振るパフォーマンスを取り入れたことも。飲食店の協力でレシピや食材をそろえた。しかし、実施店舗は全国で50店舗以下と、広がらなかった。十分な広さと人員が必要だったため、コンビニの店舗形態で導入するのは難しかったのだ。

 鷲頭さんは、九州や四国などで実務経験を積み、09年に東北商品部に赴任。東北エリアの厨房事業を担当することになった。東北では、競合に対抗する施策だけでなく、過疎化に対応する取り組みも求められていた。スーパーが減ってしまった地域では、コンビニがその代わりにならなければならない。そのための取り組みとして、地域モデルの店内厨房開発に挑戦することにした。

 全国的に広がらなかった店内厨房モデルには、厨房スペースを確保するための店舗規模と調理を担う人材が必要だった。鷲頭さんらは、その負担をできるだけ減らした簡易モデルの開発を目指した。まず、うどんとそばを調理する厨房の開発を試みたが、採算が合わずに頓挫。厨房設備などをさらに簡易にしたおにぎりから取り組むことにした。

 おにぎりを作るだけなら、厨房に必要な設備は炊飯器などに限られる。投資金額は、既存モデルの3分の1に抑えられた。多くの店舗で展開しやすい厨房にするため、商品を絞り込んだ。

 また、「おにぎりができれば、弁当やパンにステップアップしやすい」と鷲頭さんは考えていた。その理由は、おにぎりが簡単だからではない。逆に、手作りのおにぎりは他の商品より難しいからだ。ご飯を炊いて手で握るという、家庭の作り方と近いおにぎりを提供するのは、手間がかかる。そのおにぎりを効率的に、おいしく作るモデルを確立できれば、他の商品にも手を広げられる。実際に、おにぎりから調理パン、弁当へと段階的にメニューを広げることができた。

 簡易モデルの店内厨房は3年で広まり、東北地方の店舗の半分程度が設置するまでになった。厨房事業の経験を積んだ鷲頭さんは、12年に本社に異動。本社で取り組んでいた事業モデルと、地方で生まれた簡易モデルを組み合わせた「まちかど厨房」の事業に携わることになった。

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