できたて提供 ローソン「まちかど厨房」開発に込めた思い店内調理を強みに(4/4 ページ)

» 2017年04月10日 08時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]
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地域のインフラにも

photo 「まちかど厨房」のおにぎりや弁当、サンドイッチが並ぶ専用の棚(ローソンTOC大崎店)

 今後も「(加盟店に)もうかってもらうためのネタを提供し続けたい」と語る鷲頭さん。厨房設備やメニューなど、同じものを使って販売しても、店によって売り上げに差がある。「この店ではなぜ売れるのか」「どういったオペレーションをすれば利益を出せるのか」といった理由を十分に伝えることができていないと感じている。効率化の方法や生産性を向上させる仕組み、売れる時間帯など、「もっと分析していかないと」と意気込む。商品の作り方を改善するヒントを集めるため、毎月店舗を回っている。

 「環境の変化は激しく、5年後どうなるか分からない。良くなってもそれに満足せず、商品やオペレーションに関する仮説を立てて、早めに実験して、適切なタイミングで提案していきたい」と先を見据える。

 鷲頭さんは店内調理の事業に必要性を見いだしている。その背景には、東北在任中の11年に経験した東日本大震災がある。ローソンの店内厨房にコメも水もあったため、いち早くご飯を炊いて、温かい食べ物を提供できた。「人は温かいものを食べると、幸せを感じる。店内厨房は有事の際に強みになると確信した。やめないで続けていくべき事業だ」。災害時に野菜の仕入れができない状況に備え、キャベツを入れないカツサンドの商品ラベルも常に用意しているという。

 インフラとしての機能を備え、店舗経営にとってもメリットのある仕組みを構築できれば、地域社会に必要とされる事業として継続していけるだろう。鷲頭さんは、まちかど厨房をさらに大きく育てるため、加盟店にも地域の人々にも喜ばれる仕組みを追求し続けていく。

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