東芝が4月11日発表した2016年4〜12月期の連結決算によると、営業損益が前年同期比15.0%減の5763億円、最終損益が同13.8%減の5325億円と大幅な赤字だった。債務超過額は2257億円に上った。
監査法人の意見表明がないまま決算発表に踏み切り、上場廃止基準に抵触する可能性もあるが、記者会見した綱川智社長は「上場廃止を避けられるよう努力していく。メモリ事業の売却などにより、財務基盤を改善していきたい」と述べるにとどまった。
セグメント別では、米原子力事業を含む「エネルギーシステムソリューション」が7598億円の営業損益を計上。一方、フラッシュストレージなど「ストレージ&デバイス・ソリューション」は堅調で、1546億円の営業利益を計上した。
ただ、今回の決算発表の内容は、レビューを実施したPwCあらた有限責任監査法人が「結論を不表明」としており、正確性を担保できていない(関連記事)。
同監査法人は、東芝の米子会社ウエスチングハウスが原子力サービス会社の米CB&Iストーン&ウェブスターを買収した際に存在したとされる、一部経営者からの「不適切なプレッシャー」の内容を精査。この作業に時間を要したことが、2度にわたって発表を延期する要因となっていた。
にもかかわらず、監査法人による“お墨付き”を得ていない異例の状況下での発表となった理由について、佐藤良二取締役は「当社監査委員会が独自に調査した結果『不適切なプレッシャー』は財務諸表に影響を及ぼしていないという結論に至った。これ以上決算発表を延長したとしても、監査法人から適切な助言をいただくメドが立たないと考えて発表に踏み切った」と理由を話す。
16年通期の連結決算は5月に発表予定。報道陣からは、監査法人を変更する可能性について質問が挙がったが、綱川社長は「さまざまな選択肢を検討していきたい」と明言を避けた。
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