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» 2017年04月14日 11時23分 UPDATE

この先もイベント目白押し:「トランプ円高」加速、地政学リスクとドル高けん制で

「トランプ円安」から一転して「トランプ円高」になってきた。

[ロイター]
photo 4月13日、「トランプ円安」から一転して「トランプ円高」になってきた。地政学リスクの高まりから逃避の円買いが進行、トランプ米大統領のドル高けん制発言も加わり、ドルは一時108円台まで落ち込んだ。都内の外為取引会社で1月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 13日 ロイター] - 「トランプ円安」から一転して「トランプ円高」になってきた。シリアや北朝鮮を巡る米国の軍事行動が地政学リスクを高め、逃避の円買いが進行。トランプ米大統領のドル高けん制発言も加わり、ドル/円は一時108円台まで落ち込んだ。

「有事」の際、円高・円安どちらに進むかは見方が分かれているものの、足元では海外短期筋による円ロングの勢いが勝り、節目を次々と突破している。

<200日移動平均線を割り込む>

ドル/円は13日、200日移動平均線を一時割り込んだ。200日移動平均線は1年の平均コストとほぼ同義。昨年11月の米大統領選直後に上回った同線を一時的にせよ割り込んだことは「トランプ円安」が正念場を迎えたことを示している。

下押し材料となったのは、トランプ氏の発言だ。米紙ウォールストリート・ジャーナルとのインタビューで「ドルが強くなり過ぎている」とコメント。さらに金利が低水準にあることを望むとも述べたことで、10年米国債利回りは年初来のサポート水準だった2.3%台を大きく割り込んだ。

「減税など財政政策がうまくいかないことで、政策の中心が、議会を通さなくてもいい外交や通商、為替政策に移ってきたようだ。米景気などファンダメンタルズが悪くなったわけではないが、政治リスクが円高材料となっている」と、りそな銀行・アセットマネジメント部チーフ・エコノミストの黒瀬浩一氏は話す。

<朝鮮半島で有事なら瞬時に2─3円の円高>

地政学リスクも円高材料だ。米中首脳会談期間中に、米国はシリアにミサイル攻撃を実施。その後、原子力空母カール・ビンソンを中心とする第1空母打撃群を朝鮮半島周辺へ移動させている。「地政学リスクを材料に海外短期筋が、円買いを進めている」(国内証券)という。

北朝鮮では、15日に故金日成主席の生誕105周年の記念日が控えている。北朝鮮がイベントに合わせて核実験やミサイル発射などを行えば、緊張が一気に高まる。「朝鮮半島で有事となれば、瞬間的に最大2─3円程度の円高が進む可能性もある」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券・チーフ為替ストラテジスト、植野大作氏は予想する。

一方、朝鮮半島有事で日本が巻き込まれた場合、円高になるか円安になるかは見方が分かれている。1)投機の円買い、2)円キャリートレードの巻き戻し、3)日本勢の対外資産取り崩し、という円高ルートが考えられる。ただ、日本国内に資産を置くリスクが意識されれば、円安圧力が強まるとの指摘もある。

<この先もイベント目白押し>

さらに向こう1カ月の間には「米為替報告書」公表、日米経済対話など、米国を巡って円高材料になりかねないイベントが目白押しだ。

米為替報告書については、トランプ大統領が中国を為替操作国に認定しない方針を示したことで「日本やドイツが操作国認定されるリスクは後退した」(国内証券)とみられている。

だが、日米経済対話については「一時的に対立相手を設けて攻撃することで存在感をアピールする手法が持ち込まれるなら、メイントピックは高い確率で通貨・通商問題になり得る」(みずほ銀行・チーフマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏)との指摘もある。

ドル/円のリスク・リバーサル(RR)25%デルタは、一カ月物がミドルレートで2.625%のドル・プット・オーバーとなった。昨年6月の英国の欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票付近、同11月の米大統領選挙付近に次ぐ傾きだ。

不確実な要因が多過ぎるため、明確な下値めどが見つけにくくなっている。ただ、地政学リスクの高まりに種々の円買い要因が重なれば、ドルは米大統領選開票前の水準の105円台まで下げ余地があるとの見方も出ている。

(杉山健太郎 編集:伊賀大記)

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