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» 2017年04月18日 06時00分 UPDATE

新連載・外食戦争の舞台裏:なぜコロワイドは「かっぱ寿司」を買ってしまったのか (4/4)

[中村芳平,ITmedia]
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コロワイドにとって正念場

 かっぱ寿司再生の切り札として、16年6月に社長に抜てきされた四方田氏は「安かろう、まずかろう」といった悪いイメージの払拭(ふっしょく)にとりかかった。しかし、うまくはいかなかった。

 「四方田社長はメイン銀行からメニュー、看板やロゴ、内外装などを刷新するように求められていたので、すぐに実施しました。かっぱ寿司の看板からカッパを封印、白い看板に赤と金の皿を重ねたシンプルなデザインにしたのです。『安っぽい』というイメージを払拭しようとしたのですが、これが逆効果。カッパの図柄は子供たちに大人気で、かっぱ寿司創業の地、長野県などでは総スカンを食い、コアなファンの客離れが起こりました。商品力を強化するのが先で、店舗刷新は後回しにすべきだったのではないか。人気だったカッパの図柄をもっと明るく楽しいものに変えるとか、もう少しロゴの変更を工夫できなかったのかと悔やまれます」(関係者)

 四方田氏は新生かっぱ寿司のテレビCMなども流し、販促をかけた。だが一朝一夕に客足は戻らなかった。かっぱ寿司は来客数の減少、商品廃棄ロスの増加、人件費の増加などに苦しんだ。新たに収益が低下した105店舗については、固定資産の減損損失として13億2200万円の特別損失を計上、結果的に59億円もの巨額赤字を出す見込みになった。

 社長を解任された四方田氏は00年レインズインターナショナル入社、同社のオーナー社長の西山知義氏(現ダイニングイノベーション社長)に信頼され、09年に専務に就任。12年に同社がコロワイドに売却された後も執行役員、コロワイド東日本(現コロワイドMD)社長を経て、16年6月にカッパ・クリエイトの再建を託されて社長に就任した。なお、四方田氏の解任に伴い、平林徹都市型事業本部長と相沢敏之営業本部長の取締役2人も2月28日付で退任。なお、「牛角」のFCオーナーによると、「3人ともダイニングイノベーションの西山社長に迎えられた」といわれる。

photo 59億円の赤字という決算予想を発表した四方田豊元社長

 かっぱ寿司は3代目社長の大野健一氏の下で、「かっぱの改新」を進めている。「商品力の強化」を前面に打ち出し、100円寿司にとどまらないグルメ志向の寿司を投入。「安かろう、まずかろう」のイメージを刷新しようとしている。

 コロワイドはこれまでM&A戦略による事業再生モデルで、大きく成功してきた。M&A戦略もチェーンストア理論と同じで、成功の連鎖が成長の原動力になるが、社運をかけたかっぱ寿司の再生ではまだ先行きが不透明である。ちなみにコロワイドの借入金は860億円、自己資本比率は16%と落ち込んでいる。

 コロワイドはここに来てかっぱ寿司という“お荷物企業”を抱えて苦戦が続く可能性が出てきた。ただし、17年2月のかっぱ寿司全店の売上高は、前年対比で100%を少し超えた。これが続くかどうか――。今期(18年3月期)も赤字を出すようだと、かっぱ寿司の4度目の売却が現実化するだろう。コロワイドにとって正念場である。

著者プロフィール

中村芳平(なかむら・よしへい)

1947年3月9日、群馬県四万温泉生まれ。1971年、早稲田大学第一文学部卒業。流通業界勤務などを経て、日本エディタースクールの文章教室で評論家・大隈秀夫氏に学ぶ。大隈氏の紹介で、32歳で「週刊サンケイ」の契約記者に。この時代に「雑誌財界」出身の経営評論家・梶原一明氏のグループに所属。1年後フリーに。現在、「日刊ゲンダイ」の「語り部の経営者たち」にレギュラー執筆、ネット媒体「東洋経済オンライン」に寄稿、「フードスタジアム」に「新・外食ウォーズ」を連載している。


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