鉄道路線廃止問題、前向きなバス選択もアリ杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/5 ページ)

» 2017年04月21日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]
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バスじゃダメですか?

 キャラクターに頼らなくても、バスの旅の楽しさはある。私は鉄道の旅の中で、しばしばバスにも乗る。駅から離れた観光施設に行くときや、終着駅のさらに向こう側の景色を見たいときた。帯広〜襟裳岬〜様似と海岸沿いのバスに乗ったり、のと鉄道の終点から能登半島の先端を巡ったりもした。

特急はぼろ号に導入されたラッピングバス(中央)は4列シートでトイレ付き。観光地と萌えっ子をデザインした。右は羽幌沿海フェリー。左は羽幌港連絡バス。どちらも萌えっ子を採用し、一体感を強めている 特急はぼろ号に導入されたラッピングバス(中央)は4列シートでトイレ付き。観光地と萌えっ子をデザインした。右は羽幌沿海フェリー。左は羽幌港連絡バス。どちらも萌えっ子を採用し、一体感を強めている

 鉄道の車窓もおもしろいけれど、バスの車窓もおもしろい。海も森も、鉄道より景色が近い。観光施設の訪問にも便利だ。建物のそばを通り、沿道には店があり、人々の生活感も感じ取れる。路線バスの旅を紹介するテレビ番組も増えている。

 もったいないことに、路線バスの旅の楽しさを、バス事業者や自治体の交通担当者がお気付きではない場合もある。海しかないし、山しかない……。いや、それがいいんですよ、と思う。日本全国、行けば発見することはたくさんあって、楽しいかどうかは旅行者が決める。だから観光客は路線バスに乗らない、という固定観念は捨て、観光客も乗りやすいように路線バスの情報を充実させてほしい。バス事業者さんは、もっと沿線に自信を持って、沿線の景勝地や名物を探し出し、路線案内の片隅に添えたらいいと思う。

 カッコ良いバスが走っている。客室の雰囲気が良いバスがある。興味深い場所を通る。バスだって鉄道に負けないくらい便利で、楽しい。その魅力を伝えるために、できることがある。

 「鉄道が良い」と同じか、それ以上に「バスが良い」という意見があっていいはずだ。鉄道路線の廃止問題に揺れる地域の皆さん、どうですか。バスじゃダメですか。

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