キャラクターに頼らなくても、バスの旅の楽しさはある。私は鉄道の旅の中で、しばしばバスにも乗る。駅から離れた観光施設に行くときや、終着駅のさらに向こう側の景色を見たいときた。帯広〜襟裳岬〜様似と海岸沿いのバスに乗ったり、のと鉄道の終点から能登半島の先端を巡ったりもした。
特急はぼろ号に導入されたラッピングバス(中央)は4列シートでトイレ付き。観光地と萌えっ子をデザインした。右は羽幌沿海フェリー。左は羽幌港連絡バス。どちらも萌えっ子を採用し、一体感を強めている
鉄道の車窓もおもしろいけれど、バスの車窓もおもしろい。海も森も、鉄道より景色が近い。観光施設の訪問にも便利だ。建物のそばを通り、沿道には店があり、人々の生活感も感じ取れる。路線バスの旅を紹介するテレビ番組も増えている。
もったいないことに、路線バスの旅の楽しさを、バス事業者や自治体の交通担当者がお気付きではない場合もある。海しかないし、山しかない……。いや、それがいいんですよ、と思う。日本全国、行けば発見することはたくさんあって、楽しいかどうかは旅行者が決める。だから観光客は路線バスに乗らない、という固定観念は捨て、観光客も乗りやすいように路線バスの情報を充実させてほしい。バス事業者さんは、もっと沿線に自信を持って、沿線の景勝地や名物を探し出し、路線案内の片隅に添えたらいいと思う。
カッコ良いバスが走っている。客室の雰囲気が良いバスがある。興味深い場所を通る。バスだって鉄道に負けないくらい便利で、楽しい。その魅力を伝えるために、できることがある。
「鉄道が良い」と同じか、それ以上に「バスが良い」という意見があっていいはずだ。鉄道路線の廃止問題に揺れる地域の皆さん、どうですか。バスじゃダメですか。
- 夕張市がJR北海道に「鉄道廃止」を提案した理由
JR北海道が今秋に向けて「鉄道維持困難路線」を選定する中、夕張市が先手を打った。市内唯一の鉄道路線「石勝線夕張支線」の廃止提案だ。鉄道維持を唱える人々は「鉄道がない地域は衰退する」「バス転換しても容易に廃止される」という。夕張市の選択はその「常識」を疑うきっかけになる。
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東京都知事選挙で小池百合子氏が圧勝した。小池氏が選挙運動中に発した「満員電車をなくす、具体的には2階建てにするとか」が鉄道ファンから失笑された。JR東日本は215系という総2階建て電車を運行しているけれど、過酷な通勤需要に耐えられる仕様ではない。しかし小池氏の言う2階建てはもっと奇抜な案だ。そして実現性が低く期待できない。
- なぜそこに駅はできるのか?
今年3月から4月にかけて、全国で6つの駅が開業する。共通点は「請願駅」だ。地元の自治体が鉄道会社に働きかけ、費用負担を条件に駅を設置する。鉄道会社にとっては受け身な方法と言える。もっと積極的に、戦略的に駅を設置しても良いと思う。
- 「乗客がいない列車を減らす」は正解か?
青春18きっぷの利用開始日になったこともあって、中国山地のローカル線に乗ってきた。運行本数が少なく旅程作りに難儀し、乗ってみれば私一人という列車もあった。一方、快速列車で健闘する路線もある。不人気の列車の共通点は、遅さと運行時間帯だ。
- 山手線・品川新駅の魅力を高める「田町始発」電車
JR東日本が建設している「品川新駅」について、広大な開発用地の使い道や駅舎のデザインなどが話題になった。ここで、もう1つ重要な話をしよう。駅にとって大切な列車の運行計画だ。
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