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» 2017年04月21日 11時23分 UPDATE

干ばつと紛争:ソマリアの少女、飢える一族救うため失った自由と夢 (1/2)

乾ききった低木地の広がるソマリア南部の村では、井戸が涸れ、家畜が死んでいった。家族を飢餓から救うために残された最後のチャンスは、14歳の娘の美貌だった。

[ロイター]
photo 4月10日、干ばつに襲われたソマリア南部の村で、アブディル・フセインさんが家族を飢餓から救うために残された最後のチャンスは、14歳の娘ゼイナブさん(写真、左から2番目)の美貌だった。3日、ソマリアのドーロで撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)

[ドーロ(ソマリア) 10日 ロイター] - 乾ききった低木地の広がるソマリア南部の村では、井戸が涸れ、家畜が死んでいった。そんな苦しい状況下で、アブディル・フセインさんが家族を飢餓から救うために残された最後のチャンスは、14歳の娘ゼイナブさんの美貌だった。

年配の男性が昨年、ゼイナブさんとの結婚支度金として1000ドル(約110万円)を渡すと申し出た。エチオピア国境に近いドーロの街に親族もろとも引っ越すには十分な金額だ。ドーロでは、国際支援機関が壊滅的な干ばつから逃れてきた各世帯に食料と水を供給している。

だが、ゼイナブさんは結婚を拒んだ。

「死んだ方がまし。茂みに駆け込んでライオンに食べられた方がまだいい」と黒い瞳を持つ細身の少女は、高く柔らかい声で語った。

「そうすれば、私たちはここに留まって餓死し、動物たちに骨まで食い尽くされることになる」と彼女の母親は言い返した。

10代の少女とその母親が交わした会話は、2年に及ぶ干ばつを経て、ソマリアの家族たちが突きつけられている典型的な選択だ。「アフリカの角」に位置するソマリア全域で、作物は枯れ、白骨化した家畜の死体が散乱している。

この災害は、アフリカから中東にわたって2000万人の住民を脅かしている飢餓と暴力の一部にすぎない。

国連によればソマリアの人口1200万人の半数以上が支援を必要としている。2011年にも似たような干ばつが発生し、何年も続く内戦によって状況がさらに深刻化したため、26万人が命を落とすという世界的にも大規模な飢饉が発生した。現在この国は、ふたたび飢饉状態の瀬戸際まで追いやられている。

犠牲者は今のところ数百人程度だが、3─5月も降水量が改善しなければ、その数は急増するだろう。見通しは楽観を許さない。

米国のトランプ大統領が国際援助予算の削減をちらつかせるなかで、国連は、ソマリア、ナイジェリア、イエメン、南スーダンの4カ国における干ばつと紛争により、第2次世界大戦以降で最大となる人類の集団災害が現実化しつつあると指摘する。

オブライエン国連事務次長(人道問題担当)は3月、安全保障理事会に対して、「私たちは歴史の臨界点に立っている」と述べた。「国連が創設されて以来、最大の人道的危機に直面しているのだ」

国連は7月までに44億ドルの資金を必要としているとオブライエン事務次長は語る。だが、これまでに国連が受領したのは5億9000万ドルに過ぎない。

<辛い選択>

統計数値には表われないが、家族たちは日々、生き残るために胸を締め付けられるような選択を余儀なくされている。

フセインさんは、ゼイナブさんの自由を、彼女の姉妹の生命のために売り渡した。

「とても辛い気持ちだ」とフセインさんはロイターに語った。棒とボロ布、ビニールシートでできた粗末なテントには、彼女と14人の親族が身を寄せ合っている。「あの子の夢を終わらせてしまった。しかし結婚支度金がなかったら、私たちは全員死んでいたはずだ」

ゼイナブさんの手は染料の色に染まり、10代の子供らしく、自分でした落書きの跡がある。ぴったりとしたスカーフを頭に巻き、一番下にラインストーンで装飾を施したズボンの上に、長い淡褐色のスカートを履いている。内に秘めるのは鉄のように強固な意志だ。彼女は英語の教師になりたがっている。学校を卒業したいと思っている。彼女は結婚などしたくないのだ。

「私が求めているのは、こんな状況ではない」と彼女は言う。2歳の甥は裸で砂の上に横たわり、その弟である赤ん坊が弱々しく泣いている。

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