日高屋はラーメン店であるが、中華の定食メニューが充実している。近年、後継者難で町の中華料理店の閉店が目立ち、日高屋がそれに代わる役割を果たしている面もあるが、そこを特に狙っているのではないという。
しかし、町から中華料理店が消えれば消えるほど、日高屋が有利になるのは否めない。古くからの常連だった客を取り込めれば、リタイヤした団塊世代をはじめとするシニアの昼飲み客増加も期待できる。
目標は関東圏で600店を展開することだが、達成する期限を設けていない。今期は30店の新規出店を計画している。店舗の運営は理念を共有できて、品質を保てるように全て直営だが、この方針を継続していく。
出店は埼玉県行田市にあるセントラルキッチンから当日配送が可能な地域にとどめ、物流コストが掛かる全国展開は視野に入れていない。
人手不足にどう対処していくかといった外食産業共通の課題は残すものの、日高屋がどこか懐かしく親しみやすい「屋台の代用」というコンセプトをしっかり守っていく限り、大崩れする状況は想定しにくい。今後も堅実な成長が期待できそうだ。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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