連絡運輸を行う区間とは、乗り換えきっぷを売る範囲だ。乗継割引は、連絡運輸の範囲内で特別に実施する割引である。2つの鉄道事業者を乗り継ぐとき、2社分の初乗り料金がかかるため、1社で同じ距離を乗った場合よりも割高になる。特に短距離区間では割高感が増す。そこで境界の駅をはさんで一定の距離までを乗り継ぐときは、両社とも一定の料金を割り引く。条件は、事前にきっぷを買った場合と、ICカード乗車券を利用した場合だ。乗換駅で降りて別々のきっぷを買った後では適用されない。
高岡駅付近の「あいの風とやま鉄道」とJR西日本の乗継割引範囲。黄色はJR西日本と「あいの風とやま鉄道」がそれぞれの区間の運賃から割り引く。緑色は「あいの風とやま鉄道」区間だけが割り引きになる
JR同士は別会社でも距離を通算して運賃を決める。しかし、JRと私鉄、私鉄同士では、連絡運輸と乗継割引を組み合わせる事例が多い。東京メトロと都営地下鉄を乗り継ぐと、普通運賃は両社の合算額から70円引きになっている。
「あいの風とやま鉄道」に話を戻すと、元々、北陸本線も氷見線も城端線もJR西日本の路線だった。しかし、北陸新幹線の開業と同時に4つの会社に分かれた。今まで1社の運賃で済んだけれども、これからは境界を越えるたびに初乗り運賃がかかる。しかも第三セクターはJR西日本時代に比べて運賃が割高だ。そこで、境界駅付近の乗継割引を実施した。
富山駅付近の「あいの風とやま鉄道」とJR西日本の乗継割引範囲
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